読書

小田の「強調」したこと(小田実『日本の知識人』を読んで 2)

呉氏は「『小田氏が大東亜戦争の二面性を40年前に強調した』ということを強調」する。呉氏が、なぜそれを「強調」したいかというのは明らかだろう。だが、その前に、小田氏が『日本の知識人』でそんなことを「強調」しているのかどうか、というのが怪しい…

呉の単純な悲単純性(小田実『日本の知識人』を読んで 1)

呉氏は、小田氏が「単純な反戦派」ではない、つまり、「単純ではない」と指摘する。それを指摘する自分ももちろん「単純ではない」と言いたそうである。 では、呉氏が言う「単純ではない」とは、果たしてどういう意味なのだろうか? 実はそれは、非常に「単…

「サルトル嫌悪」を超えて*1

J.-P.サルトル著『家の馬鹿息子3』書評 『週刊読書人』2007年3月2日号掲載http://www.dokushojin.co.jp/70302.html ■家(うち)の馬鹿息子がやっと出たよ。 ▲ほう、三留してたお前のアホ息子、やっと大学を卒業したんかいな? ■いや、サルトルのだよ。 ▲へえ…

『傷つくのがこわい』その2

その1http://d.hatena.ne.jp/sarutora/20060625/p3 からのつづき 【夢を持てない社会】 仕事はつらいのが当たりまえ。つらくとも、自分が一人前に成長するという希望をもって、仕事の成果に喜びを感じて、つらさを乗り越えてきた。優れた先輩を目標に見て、…

『傷つくのがこわい』その1

以下は、ちょうど一年ぐらい前に書いてボツにしていた記事です。最近、今村仁司の『近代の労働観』(岩波新書)近代の労働観posted with 簡単リンクくん at 2006. 8.21今村 仁司著岩波書店 (1998.10)通常2-3日以内に発送します。オンライン書店ビーケーワン…

ベルナール=アンリ・レヴィ『サルトルの世紀』(藤原書店)書評

サルトルの世紀posted with 簡単リンクくん at 2006. 8.21ベルナール=アンリ・レヴィ〔著〕 / 石崎 晴己監訳 / 沢田 直訳 / 三宅 京子訳 / 黒川 学訳藤原書店 (2005.6)通常2-3日以内に発送します。オンライン書店ビーケーワンで詳細を見る『週間読書人』200…

自分語り

というわけで、忙しかったのが少し余裕ができたので、先送りにしていたことを少しずつ書いていこうと思います。スローブログ宣言!posted with 簡単リンクくん at 2006. 8.21鈴木 芳樹著技術評論社 (2005.7)通常2-3日以内に発送します。オンライン書店ビーケ…

Book Baton

id:t-b-sさんから渡されたBook Batonです。遅くなってすいません。 持っている本の冊数: 不明……です。かなり多いと思いますが、もちろんほとんど積ん読です。 今読みかけの本or読もうと思っている本: あれ?Music Batonと違って、最近買った本、じゃないの…

『希望格差社会』他

最近読み始めた、ジャズピアノをやっている方の日記に、ある「プロ」からこのように言われた、という記述がありました(リンクは貼りません)。 「アマチュアのライブなんてヤル意味ないでしょう。そんなの楽屋オチで、友人知人集めてやってるだけ。まかりま…

桐野夏生『グロテスク』

とあるきっかけで、桐野夏生の『グロテスク』を読みました。そもそも最近小説というものをほとんど読まないので、桐野さんの小説も初めて読んだのですが、なかなか面白かったです。で、それ関連でぐぐっていたらこんなのを見つけました。 http://www.shincho…

激ぬる

書き出しで作風や展開の読めなさにわくわくし、途中でもカフカの『城』かボルヘスかとまで思わせた。しかし結局は完全な期待はずれ。戦争を知らない生ぬるさは、この程度の生ぬるさではないということだ。我々はたしかに身近な戦争を知らない。でも、遠くか…

となり町戦争

やっと三崎亜記氏の『となり町戦争』を読みました。買おうと思ったときに限って本屋においてなかったりしたのですが、買った後はすぐ読んでしまいました。なるほど。なかなか面白かったです。id:t-b-s:20050212:p2 にもありますが、この物語は、となり町の戦…

となり町戦争

今月号の『ダ・ヴィンチ』をつらつら見ていたら、『となり町戦争』の著者三崎亜記氏のインタビューが載ってました。1970年生まれで、現在も福岡で公務員として働いている方だそうです。私はこの話題の本、まだ未読なんですが、面白そうなので読んでみようと…

清眞人『実存と暴力』

実存と暴力―後期サルトル思想の復権作者: 清真人出版社/メーカー: 御茶の水書房発売日: 2004/10メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (3件) を見る 本書において著者の清氏は、氏が1996年に出版した『〈受難した子供〉の眼差しとサルトル』と…

サルトルの演劇について(3)別役実とサルトル

さて、『現代思想』追悼号には、鈴木忠志と共に早稲田小劇場を発足させた別役実も「サルトルの芝居」という文章を寄稿しているのですが、別役は、サルトル演劇に対して、ある意味で鈴木とまったく逆のことを書いているのが面白いです。別役は、サルトルの演…

サルトルの演劇について(2)鈴木忠志とサルトル

サルトルの演劇自体は、今日の目からみると、あまり前衛的とは見えず、むしろ古典的というか、オーソドックスなものに思えます。しかし、かつてはそうでもなかったようです。鈴木忠志は、『現代思想』のサルトル追悼特集に寄せた「サルトルの”ことば”」とい…

サルトルの演劇について(1)サルトルとエウリピデス

(前回id:sarutora:20041227#p1のつづき)さて、映画としての『トロイアの女』は演劇的で、しかもその演技は、リアリズム的ではなく、非常に様式的なものです*1。 ところで、サルトルは、原作であるエウリピデスの悲劇が、他のギリシア悲劇と異なっている点…

トロイアの女たち

ヨーロッパ人、 あなたがたはアフリカやアジアをばかにして、 私たちを野蛮人よばわりしています。 それなのに自惚れて、がつがつして 私たちの土地へ来たかとおもうと、 略奪し、拷問し、虐殺する。 どちらが野蛮人です? 1965年、サルトル脚色によるエウリ…

紅一点論

コメント欄で、斎藤美奈子が宮崎駿をボロクソに言っている、と書きましたが、それは事実です。原本がどっかいっちゃって、永江朗の『批評の事情』(原書房)からの孫引きになっちゃいますが。彼女は、『あほらし屋の鐘が鳴る』で、『もののけ姫』について 宮…

『応用倫理学講義』

『岩波応用倫理学講義 5 性/愛』に、「サルトルと女とアンドロイド」というベタな名前の論文を書きました。 岩波応用倫理学講義 5 5 性/愛 著者: 越智 貢〔ほか〕編集 税込価格: \3,570 (本体: \3,400) 出版:岩波書店 サイズ:A5判 / 286p …

『エイリアンズ』『不安の正体』

TセンターのK文堂にて、平積みされていた以下の二冊を何気なくとって立ち読みしていたのですが、これまた何となく両書とも購入してしまいました。 エイリアンズ―論壇外知性体による「侵犯」的時評〈’03‐’04〉 (M2 (3))作者: 宮台真司,宮崎哲弥出版社/メー…

ときジャズ

ここんとこ何度も言及しているラズウェル細木さんですが、ラズウェル細木といえば何と言っても『ときめきJAZZタイム』です。 ときめきJAZZタイムコンプリート (EICHIプレミアコミック)作者: ラズウェル細木出版社/メーカー: 英知出版発売日: 2002/02メデ…

魂の労働

あ、deadletterさんに言及していただきました。 http://deadletter.hmc5.com/blog/archives/000071.html というか、ちょうどモラリズムという事に関して、渋谷望の『魂の労働』のことを書こうと思っていたところでした。魂の労働―ネオリベラリズムの権力論作…

「はてな」ではじめるブログ生活

というわけで、はてな公式ハンドブック『[はてな]ではじめるブログ生活』を読みました。では初めてISBNの自動リンクをやってみやう。ASIN:4886487319 なるほど*1。 まさしく、はじめたばっかりの私にぴったりの本でした。とてもわかりやすくてためになります…