峰厚い介

 モトカリに転んだ永野です……。
 えーと、「スウィングガールズ」について前回追記で書いたことは、半分冗談ですので……全体としては、ジャズの楽しさが伝わるいい映画だと思いますので、みんな見ましょう!なんちゃって。
 で、このメンバーなら買いだ、と思ってamazonで購入した峰厚介の「アウト・オブ・ケイオス」、さっそく届きました(速っ!)。もちろんさっそくiPodに入れて、昨日は移動中ずっと聴いてました。ちなみに、iTunesでPCに取り込むとき、自動的にCDデータベースを検索して曲名が表示されるのですが、何故か、一曲だけ、演奏者が「峰厚い介」と表示されました。データベースももともとは誰かが手で入力してるんでしょうからありうることですが、私自身も、「厚介」を書くのにまず「厚い」と変換して「い」を削除するやり方をしてたので、ちょっとうれしくなりました。あとは、ジャケ写が……全員、麻○彰○!
 さて、中身の方ですが、なかなか、すばらしいです。録音は1974年。以前、おそらく峰氏と同世代のある大御所サックス奏者の方のお話を伺う機会があったのですが、その方は、それこそ60年代終わりから70年代あたりのことを言っていたのだと思いますが、「昔はもう、何でもピアノが『ゴーン!チャッ、チャー!』でさ。これじゃないと始まらないってなもんだったねえ(笑)」というようなことをおっしゃっていました。で、このアルバムは、まさに「ゴーン!チャッ、チャー!」の世界です。て、全然わからないと思いますが、これはマッコイ・タイナーのピアノを模していて*1、要するに、60年代に一世を風靡したコルトレーン的モード・ジャズのことです。つまりproject H*2のYOSAKUです、っていっても誰も解らないでしょうが、コルトレーンの『至上の愛』とかのような感じです。1曲目がDm(というかDドリアン)のほとんどインプレッションズ*3。3曲目はCm*4。このキーもいかにもです。ただ、テーマは、変拍子を使っていて、ちょっと『イン・ン・アウト』あたりのジョー・ヘンダーソンみたいな感じ。2曲目は、ピアノとサックスのデュオの、菊地作のバラードで、どちらかというとウェイン・ショーターぽい感じですが、これもすばらしい。
というわけで、

峰厚介…テナー・サックス

菊地雅章…ピアノ

岡田勉…ベース

日野元彦…ドラムス

という「演奏パート」の表示は、こう書き換えた方がいいかも……

峰厚介ジョン・コルトレーン

菊地雅章マッコイ・タイナー

岡田勉…ジミー・ギャリソン

日野元彦エルビン・ジョーンズ

 いや、それが悪いというのではなくて、ほとんど、ジャンルとしてのジャズ=コルトレーン、という時代があったということなのでしょう。そういう意味では、上手いピアノ、個性的なピアノ等々があるように、個性的マッコイ奏者、上手いエルビン奏者、などもいたわけで、菊地雅章日野元彦などはまさにそうです。尊敬する菊地雅章はもちろん、日野元彦もあらためて聴くとすばらしい。もちろん他の二人もいい。
 さて、「スウィングガールズ」の話にもどると、「自宅を改造して防音室を作り、そこにこもって大音響でジャズを聴いているオヤジ・ジャズおたく」が聴いているのは、どう考えてもコルトレーンでなければならないのですが、コルトレーンそのものだとひねりがない。で、峰厚介、というのは、なかなかマニアックでいい選曲です。ほんとにラズウェル細木が監修ではないのだろうか。

*1:「ゴーン」は低音の1・5、「チャッチャー」は4度重ねコード。ソロの部分は当然4度重ねフローティングコードに、右手ペンタトニック。

*2:私らのバンドです

*3:サビはDbsus

*4:Cm×16+Bbm×16+Cm×8