再び『希望格差社会』

 『希望格差社会』への批判は、ちょっと単純化しすぎたところがあったと思います。著者は、「やりたいこと」をやろうとするのだけど、結局はたせず、生活が破綻しかかっている人間が増えていることを問題視しているのだと思います。しかも、そう言う人たちは、うまくいかないので、将来の事を考えることを放棄し、「努力しても意味がない」と努力も放棄し、ヤケになってしまっている、と。
 なぜそう言う人が増えたのかは、そこそこ生活が保障される経済的システムが破綻したということ、それと、「やりたいことをやれ」と夢を煽りながら「失敗したら自己責任」という社会になってきたこと、というのがあるのだと思います。
 そういう状況で、ヤケになっている人に対して「大変なことになるよ」と心配してくれている(皮肉ではなく)のが山田さんなのだと思います。で、まさしく「将来のことを考えることを放棄し、努力も放棄し、結局生活が破綻しかかっている」人間にかなりあてはまる私としては、もうグサっと来まくりで、つい反発したくなってしまった、という感じなのだと思います。自己分析すれば。