上手

 いつものように「舞姫テレプシコーラ)」目当てで『ダ・ヴィンチ』を買いにK文堂に行ったのですが*1、なんとなく隣にあった『ダカーポ』を立ち読み*2。すると、「バカ」をテーマにした特集の中に、内田樹氏のインタビューが。ちょうど、この間書いた「レッテル貼り」の話に関するところがあって、さすがに面白いので思わず買ってしまいました(この雑誌はほとんど買ったことがないのですが)。

武道で大事なのは、雌雄を決するような状況を回避することです。(……)人からバカと言われるような場所に踏み込んでしまったことが、すでに敗北なんです。(……)バカって人から言われた瞬間に、もう手遅れなんですよね。固着されてしまう。『バカじゃないもん』なんて言っても仕方ないんで。(……)自分が何者であるかを人から言われてしまうのは、ある種の"呪い"で、非常に危険なことなんです。でも、"お前は何々である"と言われた時に"ちょっと違うんだけど"と、ひょいっとよけるようなフットワークがあれば、致命的な仕方でカテゴライズされずにすむ。いつもぬるぬると、自分でも自分自身がよく分からないというのが、生存戦略上はクレバーなんじゃないかな(……)ぼくの場合は、仏文学の学会に行くと"ぼく専門は哲学ですから"。哲学の学会に行くと"ぼく仏文なんで全然分からないんです"。学校で何か聞かれると"ぼく体育の先生ですから"。体育の先生には"すいません、ぼくフランス語の先生ですから"。どこに行っても"ぼくはここの専門じゃないんです"」『ダカーポ』549号76-77頁

 氏のブログですでに読んだ話だったかもしれませんが、また笑わせてもらいました。そう、だから「ぼくバカサヨじゃないもん」なんて言っても仕方ないんですよね。やっぱり内田氏の方が三枚ぐらい上手のような気がしました。
 で、宮台氏らの本に関する話の続きですが……まだ書けてないので明日以降アップします。

*1:ええ?!六花ちゃん!大変なことに!?……なんて、単行本で読んでいる人を煽ってみたりして。

*2:そういえばどっちもイタリア語のdaはじまりの誌名だけど、ダカーポはナカグロなしなのね。