間違いナイ

 去年の3月、イラク攻撃がはじまったとき、何回かアメリカ大使館前での抗議行動に参加したのですが、そのころ、私の日記を読んだ友人(ちなみに、一緒に何度もストリートライブを行ったことがある)に、「永野さん、米軍基地とか行ってるんでしょ?」と言われました。「いや、基地じゃないよ、大使館だよ。」「ふーん……行って何するんですか?」「何するって……叫ぶんだよ。」「あはは、叫ぶんですか。」「そう、叫ぶんだよ、あはは。」
 彼にとっては、街頭で政治的な叫びの声をあげる、などということは、街頭で楽器の演奏をするという以上に、ほとんど「理解不能」というか「意味不明」に近い行動に感じられたのだと思います。でも、これはまだいい方で、「ああいうアブナイ人には近づかない方がいい」なんて思っている人も多いでしょう。逆に「私も戦争反対だけど、あそこまではできない。尊敬する」とか、妙に英雄的行為のように思われたりもする。しかし、「街頭で叫ぶことがフツーではない」ということ自体がフツーではないかもしれない。
 そんなことを言っている私も、街頭での行動に参加するようになったのはごく最近のことです。また、最初は、叫ぶ(いわゆるシュプレヒコール)ことにはやや恥ずかしいという感覚があったのも事実です。しかし、今は、まったくそんなことはありません。はっりいって、単に「慣れ」の問題ではないかとも思う*1。人間はたいていのことには慣れることができます。満員電車とか、カラオケとか、セックスとか、そのような実に奇妙なものにさえ慣れることができる。また、毎日伝えられるイラクでの殺戮のニュースにさえ、簡単に慣れてしまえる。そうしたことに比べれば、街頭で叫ぶことなど、まったくなんていうこともないとも思えるのですが、要は、ぶっちゃけ、そういうのは今時流行らない、てことであって、それをどうこういってもはじまらない。ていうか、反戦集会を戦車で威嚇する、というアメリカに比べれば、まだまし……なのかもしれません。
http://la.indymedia.org/archives/archive_by_id.php?id=740&category_id=3



 で、昨日、WORLD PEACE NOW主催の、米軍のファルージャ攻撃に抗議するアメリカ大使館前緊急集会に行ってきたのです。
http://give-peace-a-chance.jp/118/041111.html
が、アメ大「前」集会、と書きましたが、正確にいうと、「前」じゃないんですよね……。というのは、警察が、大使館前の通りに入る入り口(建物の入り口じゃないですよ、通りの入り口ですよ)をブロックして、抗議グループを通さないのです。なんの法的根拠もない、信じられないようなむちゃくちゃなんですが、主催者は、不当だ、抗議する、と繰り返し言ってはいたものの、結局、参加者は、大使館から何百メートルも離れたビルの前で、大使館と反対方向に向かってシュプレヒコール。なんか、空しくなってきました。で、一応、この集会の取材にマスコミも何社か来ていて、TBSのカメラも回っていたのですが、結局、この日の抗議行動は、ニュース23ではまったく報じられず*2、翌日の新聞も、朝日と赤旗が小さく扱った以外他紙ではまったく記事にならなかったそうです。それにしても、「どう伝えるか」の問題どころか、そもそも「伝えない」ことによって、要するになかったことになってしまうのだから、マスコミもひどいなあ、というような愚痴を、一緒に参加した某氏にメールしたところ、このような返信が帰ってきました。

マスコミもひどいなあ、って、いうじゃない?
でもあんた、350人しか集まってませんから! 残念!!
・・・って感じでしょうか。まあ、3,500人集まっても記事になりませんから。
デモ隊の活動するところが非戦闘地域ですから。ですから。

 ……「いまどき反戦運動」……斬り!
 さらに、「いまどき『デモ行ってます』ていうのと『エロゲーやってます』というのでは、どっちが『引かれ』ますかね?」という私の愚問に対しての同じく某氏の答えは

デモの方が引かれます。間違いない。

 こんどは長井秀和かい!
 まあ、デモが報道されるかどうかということは、ほんとはどうだってよくて、それよりも、米軍のバイアスがかかった現地情報の伝え方の問題の方が大きいのでしょうが、と思ったらそのことを書く余裕がなくなってしまった……。

*1:最近は、集会に参加する人たちの間でも「シュプレヒコールは嫌い」という声もよくきかれますが。

*2:TBSのホームページには映像が載っています。http://news.tbs.co.jp/20041110/headline/tbs_headline1070897.htmlテレビで放送されたのかどうかは不明。