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タクシー残酷物語
21時間勤務でも年収250万円
「給料も命も削られて死にそうだ」――17日、大阪のタクシー運転手5人が国を相手に損害賠償を求め訴えた。「日本一激しい」とされる大阪の運賃値下げ競争、新規参入の連続による客の奪い合いの壮絶さは本当に悲惨だ。
(……)タクシーの労組「自交総連」によると、全国に36万人いるドライバーの平均年収は約250万円。2勤1休だが、労働時間は規制緩和前より3時間くらい増えて1回あたり約21時間に。37道府県で標準家庭(夫婦と子供2人)の生活保護基準を下回り、時給では約600円の地域別最低賃金にも満たない。家賃が払えず車内や駅に寝泊まりする「タクシーホームレス」になったり、借金に追われ蒸発、運転中に急死といった話は日常茶飯事で、自殺者は年間700人以上(規制緩和前の約16%増)。交通事故も規制緩和で約1.5倍というから、利用する側にとっても他人事ではない。
小泉首相は『弱い者は死んでもいい』とでもいうのでしょうか。規制緩和で労働者が文字通り死にそうになっているのに、なんのケアもない。タクシー会社の労基法無視も野放しだから、どうかしています。法人ドライバーは平均54.6歳だから転職できるチャンスはないに等しい。だからほとんどが泣き寝入りしていますが、内心は『どうしてここまで虫けら扱いされるのか』と、政府への怨嗟(えんさ)、悲しみでいっぱいです」(自交総連書記次長・菊池和彦氏)
 しょっちゅうフランス料理やオペラ鑑賞に出かけている小泉首相が鬼に見えてくる。

タクシー運転手:3割が不調でも業務 北海学園大講師調査
 タクシー運転手の3人に1人は体調が悪い時にも営業運転をしたり、約4割が違反場所で客待ちした経験のあることが、川村雅則・北海学園大講師(労働経済学)の実態調査で分かった。運転手が無理をする要因は、02年2月から実施された規制緩和による台数増加や長引く不況による利用者の減少によって、過当競争が激化していることが背景にある。札幌市で29日に開かれる北海道経済学会シンポジウムで報告する。【田中泰義】

via:http://b.hatena.ne.jp/sava95/
 「規制緩和」は、縛りが緩むことでしょ?「自由化」は自由になること。いいんじゃない? そういう漠然としたイメージだけが流通させられ、何の規制が緩和され、誰の自由なのかが隠蔽されてきたのではないか。しかしその実態がこれだ、ということではないか。労働者いじめの解禁であり、労働者を死なせる自由であった。「の自由」を求める企業の声を「あなたも商売がやりやすくなりますよ、消費者のあなたもお得ですよ」と変換する政府とマスコミの詐術によってうまれるのは、われわれの不自由である。

第1条 労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。
2 この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。