穴開きー

寒いのでコートを引っ張り出してきて着ています。ところで、冬の終わりごろ、私のコートの左ポケットに穴が開いてしまいました。
ポケットに穴が開くと、困ります。
なぜなら、いうまでもなく、ポケットに入れていたものが、穴から落ちてしまうからです。
しかし、私のコートの場合、穴から出たモノはどこに落ちるかというと、コートの表地と裏地の間の隙間の空間に落ちるのです。
というわけで、道に落としてしまうとかそういうことはないのですが、これはこれで困ります。
コートの表地と裏地の間の隙間の空間をなんと呼べばいいかと言うと、そういう空間はやっぱりポケットと呼ぶほかはないように思います。
ややこしいので、第1ポケットと第2ポケットという言い方をすると、私のコートは、第1ポケットに入れたモノが穴から落ちて第2ポケットに入ってしまうので、困る、という状態になっていたのです。

で、早く穴をふさがなきゃなー、と思いながら、めんどくさいのでそのままにしていました。
第2ポケットに入ってしまったものは、第1ポケットの穴から指を入れてまさぐって、回収しなければなりません。
さしあたり右ポケットだけを使おう、と思うのですが、つい習慣で左にも入れてしまうのですよね。そうしているうちにだんだん穴が大きくなってきて、ますます、これはまずい、と思っていました。


ところがです。今回久しぶりにコートを使ったら、気がつくと、左ポケットを全然普通に使えていたのです。というか、穴が開いているということをすっかり忘れていました。
穴を縫ったということはないのですよ。
その逆なのです。つまり、穴が、穴と意識されないほどに、広がりきってしまったのですね。このような状態です。

というわけで、穴が大きくなりすぎたために、第1ポケットがポケットとしての機能をはたさなくなり、いうなればポケットの「第2の入り口」のようなものに変化した → それにともない、第2ポケットがそれまでの第1ポケットの役割をはたし始めた、ということなのです。
不謹慎な例えですが、胃を切除した人の食道が胃の機能をはたし始める、という話と似てませんか?


似てませんか。すいません。