「12.4 黒い彗星★国際連帯声明」について

このブログでも少し書きましたが、2009年12月4日、在特会在日特権を許さない市民の会)という団体が京都の朝鮮学校を襲撃しました。しかしこの事件はマスコミで大きく取り上げられることもなく、多くの人は無関心でした。その一年後、2010年の12月4日、この差別襲撃事件の一周年を「記念」する、という民族差別デモが渋谷で行われました。このデモに対して、横断幕をかかげて単身非暴力抗議行動を行った「黒い彗星」こと崔檀悦(チェ・ダンヨル)氏が、デモ参加者に集団で暴行を受け、全治三週間の大怪我をおいました。ところが、その場にいた警察は、暴行加害者を放免し、暴行被害者である彼の方を、あろうことか逆に「暴行容疑」で逮捕しました。在特会などのレイシストによる暴力、それに抗議するものへの警察の不当逮捕は許されざるものですが、また、こうしたすべてに無関心な日本社会そのもののあり方も、大きな問題だと思います。無関心とは、「踏まれているものを見てみぬふりをする無関心」ではなく、「踏んでいるものの無関心」という意味です。在特会が言う「在日特権」なるものはまったくのフィクションです。しかし、侵略戦争植民地主義清算を果たさず、今もまた、朝鮮学校への無償化適用の除外という明らかな民族差別を政府自らが行う、というこの日本社会で日本国籍を持って生きている私の責任は明白なリアルとして存在しています。60年以上前に、ある人が「合衆国には、黒人問題など存在しない。あるのは白人問題だ」と言い、それを受けて別の人が「反ユダヤ主義は、ユダヤ人の問題ではない、われわれの問題である」と言った、それを受けて言えば「民族差別を拒否することは、われわれの問題である」ということです。
以下の国際連帯声明に連帯の意を表します
http://d.hatena.ne.jp/free_antifa/20110109/1294546371の転載

12.4 黒い彗星★国際連帯声明
声明

 私たち「12.4黒い彗星★救援会」は、2010年12月4日、渋谷駅近くの路上で起こった事件について、世界中の差別と闘う人々に訴えます。

 

 日本人レイシストによる民族差別デモに単身抗議した「黒い彗星」こと崔檀悦(チェ・ダンヨル)は、レイシストたちに集団暴行を受け、全治3週間の大けがを負いました。にもかかわらず、警察は、暴行の加害者を放免し、暴行の被害者であるかれを「暴行容疑」で逮捕したのです。

 

 かれは、横断幕を掲げるという非暴力抗議行動をしただけにすぎません(現場映像は以下)。いえ、横断幕には、重大なメッセージが含まれていました。

http://www.youtube.com/watch?v=qvdXPdxFjt8

かれは暴力をふるってなどいません。むしろレイシストたちが一斉にかれに襲いかかり、集団で殴る蹴るの暴行を加えたのです。多くの警察官がそれを見ていました。にもかかわらず、渋谷署はかれを逮捕し、指紋を採取し、必要な医療措置を受けさせませんでした。その上、暴行加害者を充分に調べることなく帰宅させました。

 

 幸い、かれは約50時間の留置のあと釈放されました。しかし、今回の事件は、日本社会と日本行政の腐敗・堕落を明らかにしました。現在の日本では、人間を不当に貶める差別表現が容認され、さらには、差別する者たちのおぞましい集団的暴力が容認されてしまっているのです。

 

 かれは、横断幕に次のようなメッセージを記しました。

対話に来ました


民族教育の権利を守るぞ!!


阪神教育闘争の精神を受け継ぐぞ!


祖国統一! 우리는하나 ANTIFA黒い彗星☆

http://f.hatena.ne.jp/free_antifa/20101210220729

 

 黒い彗星は、日本に生まれ、13才まで大韓民国で育ち、それ以降ふたたび日本で暮らしてきました。その日本は、かつて朝鮮半島大韓帝国)を侵略/植民地化し、同化教育を強制しました。名前を奪い、言葉を奪いました。1945年の第二次世界大戦での敗戦後も、日本国内の朝鮮人・韓国人や他の外国人たちが有する民族教育の正当な権利を侵害してきました。そうした抑圧に対する抵抗の象徴の一つが、1948年朝鮮学校閉鎖令への反対運動である「阪神教育闘争」です。

 

 しかし日本政府は、そうした負の歴史を反省し清算するどころか、朝鮮半島分断に加担し続けています。朝鮮戦争アメリカ合衆国側として参加。現在にいたっても、アメリカ同盟国として、朝鮮半島の平和に軍事的脅威を与えています。その中でさらなる差別として、2010年には、「高校無償化」政策から朝鮮学校を排除しました。それは、朝鮮民主主義人民共和国への不当な制裁政治の一環として実行されました。同時に、継続する植民地主義在日朝鮮人弾圧であり、決して許されてはならないものです。

  

 かれは、これまでもずっと、こうした差別に反対してきました。朝鮮人差別のみならず、日本に暮らすすべての外国人への差別に反対してきました。地道に署名活動をし、平和的なデモに参加し、時には自ら組織し、インターネット上で排外主義に反対するネットワークづくりを行なっています。かれの支持者には同胞、そして排外主義に反対する日本人、なかには右派ナショナリストもいます。排外主義に反対する一翼をかれは担い続けてきたのです。12.4の非暴力直接行動は、突発的な思いつきでも気まぐれでもなく、反排外主義や朝鮮学校に対する差別に対抗する地道な運動への参加(コミットメント)という文脈に位置づけられなければなりません。

 

 今回、かれが単身抗議したレイシストのデモは、ちょうど1年前の2009年12月4日に、京都朝鮮第一初級学校におしかけ、子どもたちに「(共和国の)スパイの子」「日本から出ていけ」と罵声を浴びせるという悪質な差別事件を起こした団体とそのシンパによるものでした。そのレイシストたちに抗議し袋だたきにされたかれを、警察は不当にも逮捕し、東京地検は起訴はしなかったものの、曖昧な処分をくだしました。つまり、決定にあたり、日本の法制度によれば当然なされてしかるべき「嫌疑なし」という説明をしないことを選んだのです。

 

 私たちはこうした現実に失望するとともに、大きな危機感を抱いています。私たちは、決してかれを孤立させてはなりません。この事件によって、コリアの一員であり世界の一員であるとともに日本社会の一員であるかれが、社会的・経済的・政治的不利益を被ることがあってはなりません。

 

 私たちはかれの友人として、かれの同志として、不当な差別と暴力を許さない、けっして容認しないという決意をあらたにし、世界中の反排外、民族差別反対を担う人々にこの問題を訴えます。私は、黒い彗星に連帯します。私たちは、黒い彗星に連帯します。私は黒い彗星です。黒い彗星への日本社会における社会的制裁は、釈放後も継続しています。これは不当なことです。もし黒い彗星への攻撃がこれからも続くのであれば、どうか、私を宛先に加えてください。


 何度でもくりかえし訴えます。


 私たちは絶対に差別を許さない。


 私たちの闘いは、これからだ。


2011年1月9日

署名:「12.4 黒い彗星★救援会」「新たに署名してくださる人々のための余白」


 追記

 この声明への連帯表明を全人民に呼びかけます。拡散、翻訳を歓迎します。ガザで、ピョンヤンで、カイロで、ニューデリーで、チアパスで、京都で、済州島で、ブザンソンで、シベリアで、ハバナで、鶴橋で、エルサレムで、香港で、ケープタウンで、ベルリンで、ビエンチャンで、バスクで、ソウルで、ヤウンデで、テヘランで、サンフランシスコで、アクラで、アテネで、北京で、リュブリャナで、広島で、その他のあらゆる場所で話題となることを希望します。また、世界史における出来事として「渋谷12.4」を記憶することを呼びかけます。


[英訳:International Statement of Solidarity for Comet Black, December 4 - 12.4 黒い彗星★救援会]


1月23日(日曜日):報告集会を開催します。 - 12.4 黒い彗星★救援会