与野党トゥギャザーしようよ!

どこの局かわすれたが、政治バラエティーの特番みたいなのをやるらしくて、それの番宣CMをやっていた。スタジオに政治家やタレントたちを集めて、今年あったいろいろな問題についてわいわい語らせようという、よくあるものだ。どうせ見ないし、番組名も覚えていないのだが、とにかくそのCMで番組中のいろいろなシーンが次々流れる中に、スタジオで、ルー大柴が、立ち上がってこう叫ぶところが一瞬流れた。

与野党トゥギャザーしようよ!!

何の問題についての発言かはわからないが、大体想像はつく。「ねじれ国会」という状況の中で、政治停滞が起こっているが、この非常時にケンカをしている場合か、一致団結して問題解決にあたれ、みたいな感じではないだろうか。

インポータントなプロブレムがいっぱいある中でさあ、そーんなスモールなことで対立してる場合じゃないでしょう!ビッグ・セイム・ユナイト*1すればいいじゃない!

とかね(いや、上のセリフは勝手に想像したものなので念のため)。
「トゥギャザーしようよ=仲良くしようよ」ていうのは、結局「平和的にやろうよ」ていうことなので、つまり昨日一昨日の記事(http://d.hatena.ne.jp/zarudora/20071224/1198444853 http://d.hatena.ne.jp/zarudora/20071222/1198357169)とも関連することなんだけど……。
そもそも、小選挙区制導入というのは、私の床屋政談レベルの政治知識によると、アメリカみたいな二大政党システムにして、政権交代が起こるようにするため、という名目でなされたんじゃなかったっけ。つまり、それまでは、野党が弱くてなさけなさすぎて、与党自民党一党独裁みたいになっていた。そうした状況を改善するために、政権を担えるぐらいの大きな力を持った野党を作るんだ、そうして与野党がチェンジするようになったら政治が健全化するんだ、みたいな。そういう理屈を散々マスコミは煽った。で、強い野党を作るためには弱小野党は淘汰されてなくなってもいい、ということになり、現在の状況に至った。
ところで、政権交代できる野党、というのは、与党とケンカしたり対立したりできるほど大きな力をもった野党、という意味だと思ったのだが、違ったのだろうか。ケンカしたり対立したりせずに政権交代が起こる、というのは良く分からない。
ところが、実際に民主党が、自民党とケンカできそうなぐらい大きくなってくると、驚いたことに、「野党は与党と対立して政治停滞をおこすな」みたいな論調が目立ってきたのだ。これには呆れる。だいたい、与党と野党がトゥギャザーしちゃったら、それこそ一党独裁であり大政翼賛じゃないか。でもたぶん、ルー氏のあの発言に、お茶の間(死語)で「そうだそうだ、ルー大柴もいいこというじゃねえか」なんてうなずいている人が結構いそうだ……。
結局、なぜ多くの人が自民党が好きかというと、いまさら言うまでもないが、自民党が与党だから、なのである。で、なぜみんなが与党が好きかというと……それは結局、与党は与党だから、なのである。逆に言うと、なぜみんなが野党が嫌いかというと、それは、野党が野党だから、なのである。
というわけで、野党が弱いときには「野党は弱い、だらしない、ふがいないからダメだ」といわれる。で、その野党がちょっと強くなってくると「野党は反対ばかりして与党の邪魔をするからダメだ」となる。野党というのは、弱くてもダメ、強くてもダメ。なぜなら野党だから。与党は、強いと支持される。「やっぱり政治が安定するためには強い政党が政権を担わないと」とか言われる。ところが、与党は、弱くても支持されるのである。「たしかに今与党は弱っているが、いま与党が倒れたら政治混乱がある。今はだらしなくても経験がある与党に任せたほうがいいんじゃないか」みたいな。
というようなトゥルースをファインドしちゃったわけ。

*1:ええと、「大同団結する」は『プログレッシブ和英中辞典』によるとほんとはunite for a common purposeだそうです。