小学校襲撃について(コメント欄での返答)

前回の記事http://d.hatena.ne.jp/sarutora/20091218/p1のコメント欄での、ululunさんのコメントへの返答を、再掲します。不十分なものであり、また知っている人にとってはいまさらなことなのだと思いますが。

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「私が地面に小さな丸を描いて」と書いたのは「金銭の提示をしたにも拘わらず校庭用地を確保出来ない」という意味ではありません。font-daさんの記事にもあるように、「民族学校において、十分な教育設備を整う資金を確保することが難しい」ということ(それは、朝鮮学校に対する助成金がいわゆる正規の「学校」に比べて、きわめて少額におさえられているということも原因のひとつです)、また、助成金の少なさだけではなく、朝鮮学校はじめ外国人のための学校が、日本においてさまざまな差別的な扱いを受けてきた(いる)という意味です。19日にこの襲撃事件に対する抗議集会に行ってきたのですが、そこで、在日本朝鮮人人権協会の金東鶴さんが、そうした差別的扱いについての歴史と現状について詳しく話していました。そのときされたのと同じ内容の話の一部がまとめられている記事>民族教育の権利を知るための22のキーワードが、ululunさんがおっしゃる「資料」になるのではないでしょうか?
記事にもあるように、1948年の「朝鮮学校閉鎖令」や、1965年の文部事務次官通達は、地面に小さな丸、どころか、朝鮮学校の存在そのものを否定・抹殺するものだったわけです。そして、現在も、朝鮮学校は自動車学校などと同じ「各種学校」とされ、いわゆる正規の「学校」に比べてきわめて不利な扱いを受けています。助成金については、上記「資料」に

同胞も納税の義務は日本人と同じように課されているにもかかわらず、民族学校への補助金は国庫からはびた一文も出されていません。多くの地方自治体が独自の判断で助成金を出してはいますが、日本の公立とは桁違い、私立と比べても格段の差があるのが現状です

とあります。今回の京都朝鮮第一初級学校も、先日の集会で、資金難で各地を転々とし、現在の場所に移転した際もグランドを作るだけの用地が確保できなかった、という風に校長先生がおっしゃっていました。
 上記「資料」にもありますが、1998年2月、日本弁護士連合会は朝鮮学校関係者の人権救済の申立に応え

「朝鮮各級学校のみならず、いわゆるインターナショナルスクールなど日本国に在住する外国人の自国語ないし自己の国及び民族の文化を保持する教育に関して重大な人権侵害があると同時に、子どもの権利条約など関係条約違反の状態が継続していると判断」し、(1)「日本国に在住する外国人が自国語ないし自己の国及び民族の文化を保持する教育をする学校と大学校及びその卒業者について、日本国の学校教育法第1 条の各義務教育課程、高等学校教育、大学に相当する教育を授受しているものにその資格を認めず、法律に根拠を持つ公的な資格を認定する試験を受験させないことは重大な人権侵害であり、かかる事態を速やかに解消させるべきである」、(2)「少なくとも私立学校振興助成法によるのと同等以上の助成金が交付されるよう処置をとるべき」、(3)各種学校としての地位さえも与えるべき積極的な意義がないとした1965年通達については「撤回させるなどこれによる人権侵害を除去し、その被害を回復する適当な処置を取るべきである」

という勧告を内閣総理大臣および文部(当時)大臣に行ったということです。
 というわけで、「地面に小さな丸を勝手に描く不当な行為が存在した」というのは「推定」ではなく事実であると私は考えます。もちろん、こう言っても、「外国人学校民族学校など必要ない、外国人は日本にいるのだから日本人になって同化されればいいのだ。それがいやなら日本から出て行け」などと考えている人は説得されないでしょうが(<そしてこれはほとんど日本政府の考え方そのものなわけですが)。
 また「サッカーゴールや朝礼台を公共の場たる公園に「放置」しておく」ということについては、「放置」ではなく、市や近隣住民との合意のもとであったということです。また「土地特有の民族差別的な眼差しが不当なまでに狭い学校用地しか取得出来なかった要因」ということは、なかったようです。新しく土地に移住してきた人の中に事情を知らずに「不法占拠している」と誤解する人がいた可能性はあります。