政治のない世界

いわば彼らは、何かどこかに「政治」という場所があり、そこに近づかないようにすることで「非政治的」になれると考えているようだ。

http://d.hatena.ne.jp/hokusyu/20090203/p1

というのを読んで思い出したのですが、今年の正月、実家に帰って、元日の朝、朝日新聞を読んでいたら、たしか、正月特集号のどれかだったと思うのですが、その中に、「子供たちが、夢の世界を書初めしました」みたいな記事がありました(現物がないのでうろおぼえですいません)。で、子供たち(たぶん小学生)が、自分がどんな世界を夢見ているか、というのをお習字で書いた紙を両手でかかげて笑っている写真、というのがあったのですね。
さて、その集合写真のまんなかで、いちばん目だつ位置でにっこり笑っていた子供は、「○○のない世界」という言葉を書いていたのですが、この○○の部分にはどんな単語が入っていたでしょうか、というのが問題です。
いやまあもうおわかりでしょうが、ええとですね、小学生が書きそうな、というか、そういう場合に大人にとりあげられそうなありがちな言葉というのを想像すれば、「戦争のない世界」とか「差別のない世界」とか、あるいは「勉強のない世界」とか、ありそうですね。ところが、その子が書いていたのは「政治のない世界」だったのです。「政治」っていうのは、その子にとっては「最もこの世界からなくなってほしいもの」ってことでしょうか。「政治があるから戦争もあるし差別もおこるんだ」てことでしょうか。いやまああんまり何も考えないで書いたんだと思うんですが。まあ小学生が「好きなものは政治です」って言っててもちょっと怖いですし。それよりもちょっと気になったのは、その言葉をど真ん中に持ってきた大人の感覚ですね。推測ではありますが、それはやっぱり、前こちらhttp://d.hatena.ne.jp/zarudora/20080402/1207159525で紹介したTBSの記者と同じような「政治とは無縁の子供たち」という感覚なんでしょうかね。その記者は、ブッシュ大統領を刺す場面が出てくるハマースのテレビ番組を紹介するニュースで、「政治とは無縁の」子供たちを政治に巻き込むハマースは悪い、みたいにコメントしていたのですが。前書いた記事を引用しておきます。

連日、イスラエルによる激しい空爆にさらされるガザ。しかし、政治とは無縁の子供たちに向けられたこうした番組は、新たな憎悪を生み出すだけではないか、ハマスの姿勢からは、そうした疑問しか浮かんできません。(TBSのニュースでの金子久伸記者のコメント)

何を言ってるんだろう、と思います。「激しい空爆」は、まさにその子供たちを日々殺しているわけであって、子供たちは「爆弾とは無縁」どころではないわけです。そんな子供たちを引き合いに出して、番組をしたり顔で非難してるつもりのその「姿勢」にこそ、まず疑問符をつけたい気持ちがしてなりません。
さらに、「憎悪を生み出す」というなら、「アラブ人」を「テロリスト」として描くことで「憎悪を生み出す」ような番組、映画etc.は、西側メディアの中にはあふれているわけで、そりゃどうなんだ、と。

http://d.hatena.ne.jp/zarudora/20080402/1207159525