サンシャイン牧場のカモについて

いま話題(わだい)のmixiアプリサンシャイン牧場(ぼくじょう)ですが、とても楽しいゲームでありまして、私もやっております。
ところで、このゲームは畑で農作物(のうさくぶつ)を育てるコーナーと、畜産広場(ちくさんひろば)で鳥などの動物を育てるコーナーにわかれています。せんじつ、畑について、id:terracaoさんが「個人的なクレーム」を書いていて
http://d.hatena.ne.jp/terracao/20091027/1256586775
これも面白かったので、私は、畜産広場について「個人的なクレーム」を書いてみたいと思います。
というのも、私は、7・8年前に近所(きんじょ)の川でカモの観察(かんさつ)をはじめて以来(いらい)のちょっとしたカモ好きなのですが、サンシャイン牧場に出てくるカモは、あまりにめちゃくちゃです(笑)
ちなみに、私のカモについての日記(にっき)は、このへんにあります↓
カモの日記(はてな)
ジオシティーズ時代のカモ日記はこのへん↓
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife/6142/0210.html#1028
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife/6142/0212.html#1230
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife/6142/0301.html#0111
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife/6142/0302.html#0208

さて、サンシャイン牧場のカモですが、ガンカモ科というふうに広げたとして「家鴨、フランス鴨、鵞鳥、紅茶鴨、酒面雁、カルガモ、黒鴨」の7種類(しゅるい)が飼えます。
まず、大前提(だいぜんてい)として、カモやガンは水鳥(みずどり)ですので、このゲームのように牧場で牧草(ぼくそう)をたべて育つってことはないと思います(地上(ちじょう)にもたまには行きますが)。でもまあそれはしょうがないでしょう……。
つぎに、7種類を一つ一つ検討(笑)していきます。私のいまのレベルでは飼えないカモもあるんですが…。

家鴨

このカモのことを「イエガモ」と呼んでいる人はゲームをやっている人のなかにかなーりいるんじゃないかと思います(笑)。じっさいは、「家鴨」と書いて「アヒル」と読みます。これもそうですが、ほかのカモも、カルガモ以外すべて漢字というのがちょっと変ですね。普通カタカナで書くような気がします。このゲームはもとは中国のゲームらしいのですが、それと関係(かんけい)あるのかも、と思います。つまり、もとの中国語の表記(ひょうき)を日本語に訳した人が特にカモに興味(きょうみ)ない人で、めんどくさいのでもとの漢字そのままにして、カルガモだけは有名(ゆうめい)なのでカタカナにした、みたいな。わかりませんが。

というわけで、これはアヒルなのですが、アヒルに見えないですね。ちなみにアヒルというのは、野生(やせい)のイノシシを家畜化(かちくか)してブタを作ったように、野生のカモ(北半球(きたはんきゅう)のマガモ、南半球(みなみはんきゅう)のノバリケンなど)を家禽化(かきんか)して作ったものです。
ヒルは、体が白くてくちばしが黄色いのがおなじみです。↓の写真はwikipediaより

が、実は、種類(しゅるい)もからだの模様(もよう)も、さまざまなものがあるようです。それについては、ダックミニ知識というサイトがとてもくわしいです。ただ、サンシャイン牧場の「家鴨」のような、茶色くておしりだけ白い、というようなアヒル(カモ)はいないと思います。

フランス鴨


目のまわりが青くておしゃれなカモです。
フランス鴨というのは実は聞いたことなかったのですが、いろいろと調べたら、南米産(なんべいさん)の「マスコビ種(しゅ)」というアヒルをフランスで改良(かいりょう)した「バルバリー種」という名前のアヒルを「フランス鴨」というらしいです。しかし、フランス鴨とは「バリケン」の別名(べつめい)だ、という説明をしているひともいます。バリケンというのは南米産(なんべいさん)のノバリケンというカモを家禽化したものといわれていますが、つまりこれが「マスコビ種」ということでしょう。どうも「バルバリー種のアヒル」のことを「バリケン」と呼ぶ場合もあるようです。このバリケン(あるいはバルバリー種のアヒル)は、食用として入ってきたものが逃げ出して野生化(やせいか)したものが、日本にもいます。↓は、私が和歌山城(わかやまじょう)のお堀(ほり)にいたのを撮影(さつえい)したものです。

というわけで、じっさいのフランス鴨=バルバリー種のアヒルバリケン、というのは目のまわりに赤い皮膚(ひふ)がみえる、サンシャイン牧場のフランス鴨とは似ても似つかない風貌(ふうぼう)です。サンシャイン牧場のほうは、こんなカモはいないと思うので、架空(かくう)のカモですね。
ちなみに、われわれにおなじみのすがたのいわゆる「アヒル」は、たぶん、いわゆる北京(ぺきん)ダック(イギリスで改良された「チェリーバレー種」が有名)のすがたですね。*1

鵞鳥


これは「ガチョウ」と読みます。カタカナで書くことが多いと思います。サンシャイン牧場の「鵞鳥」を「わしどり」と呼んでいる人も一定数(いっていすう)いるとみました(笑)。ちなみに「わし」の漢字は「鷲」です。
さて、アヒル(ダック)は、マガモやノバリケンなどの野生のカモを家禽化したもの、なわけですが、ガチョウ(グースgoose*2)は、カモではなく、野生のガンを家禽化したものです。これは、wikipediaの知識ですが、大きく分けて、ハイイロガンを原種(げんしゅ)とするヨーロッパ系種と、サカツラガンを原種とする中国系のシナガチョウがあるそうです。wikipediaにのっている写真(しゃしん)は、ヨーロッパ系だと思いますが、こんなかんじです。

というわけで、これはめずらしく、というか唯一(ゆいいつ)、サンシャイン牧場のカモのすがたは、じっさいのすがたと一致(いっち)しています。
上くちばしのつけ根にコブのようなものがあるのが中国系のシナガチョウらしいのですが、サンシャイン牧場のは、中国系のゲームだけに、ちゃんとコブがあるシナガチョウになっています。

紅茶鴨

紅茶鴨というのは、なんか聞いたことはあったもののよく知らないので調べてみたら、どうも、エサとして紅茶の粉末を与えたりしたアヒル(肉)の商品名のようです。というわけで、紅茶鴨という種類のカモがいるわけではありません。ちょっとみたところ「うちの紅茶鴨はバルバリー種だ」といってるところと「うちはチェリーバレー種だ」と言っているところがあったので、紅茶鴨とされて売られているアヒルが、どういうすがたかたちをしているかは、これまたまちまちなはずです。
で、サンシャイン牧場の紅茶鴨ですがヒルにはみえませんね(ペキン系にせよバリケン系にせよ)。どっちかっていうとガチョウです。……ていうか、ガチョウと同じです……。北京ダックふうのシロアヒルのすがたなので、つじつまはあってますね。
さて、実はさらにややこしい話があって、紅茶鴨というのは、しばしば「合鴨(あいがも)」として売られているようです。実は、合鴨というのは、厳密にいうと、アヒルと、アヒルの原種であるマガモを掛け合わせたもののことです。しかし、日本で合鴨として売られているもののほとんどは、ようするにアヒルであるようです。うそ表記(ひょうき)だ、と怒っているひともいるようですが、まあ、たしかに混乱(こんらん)させるかもしれませんが、ひろい意味(いみ)の「あいがも」ということでいいんじゃないでしょうか。たぶん、こういうことだと思います。アヒルというのは、カモを家禽化したもの、つまりいうなれば食用カモ、てことなんですから、カモ肉が食べたい、という人にたいしてアヒルを売るのは実は、ぜんぜんふつうのことです。おそらく、野生のカモの肉はかたくてまずいんだとおもいます。ところが、カモ肉を食べたい人は、アヒルがカモの家禽化したものだというのはしらないんで「カモが食べたいのにこれはアヒルじゃないか!」とか怒る人がいるんでしょうね。てことで、カモだけど野生のカモではないもの、の名称として、アヒルにかわる「合鴨」という名称が、なんとなく便利(べんり)なものとしてつかわれはじめているのではないかと。いや単なる推測(すいそく)ですが。おそらくこれ、アヒルもカモもダック(カナールetc.)で区別(くべつ)がない*3欧米(おうべい)ではおこらない問題(もんだい)だとおもいます。

酒面雁


これも、読み方がむずかしいです。「しゅめんがん」とか呼んでいる人もおおいと推察(すいさつ)されますが(ていうか私がそうだった)、じっさいは「サカツラガン」とカタカナで書くことがおおいようです。サカツラガンは、私もしらなかったわけですが、日本にはあまりいなくて(渡(わた)ってこなくて)、中国や朝鮮で越冬(えっとう)するようです。wikipediaによるとおもな越冬地(えっとうち)としては、中国の〓陽湖(ぽーやんこ)と、朝鮮の漢江(はんがん)があるそうです。さきほどのシナガチョウも、このサカツラガンを家禽化したものなのですね。というわけでこのカモが入っているというのもやはり中国系ゲームならではなのかもしれません。写真はこれです(wikipediaより)。

で、サンシャイン牧場サカツラガンですが、色は青くて違いますが、くびのうしろのところとか、からだの模様は、じっさいのものとよく似ていますね。

カルガモ


これが、いちばんわけがわかりません。カルガモっていうのは、皇居(こうきょ)の近くで親子がおひっこしをするすがたが大きく報道されたりして、名前もよくしられていますが、じっさい日本にいる野生のカモでは一番数がおおいものです。カモは基本的(きほんてき)には渡り鳥(わたりどり)なのですが、このカルガモだけは、(ほとんど)渡りをしません。というわけで、夏場(なつば)もいるので、非常(ひじょう)にみなれたカモで、どこにでもいるほんとにありふれた鳥です(てそこまでいうことはないか…)。↓は私がかつて撮影したカルガモす。

サンシャイン牧場のとぜんぜんにてもにつかないです。サンシャイン牧場のは、くびのあたりはマガモっぽいですが、頭のうしろに羽がねぐせみたいに飛び出ているのはキンクロハジロなどの特徴で、いずれにせよカルガモとはぜんぜんちがいます。というわけで、いちばん見慣(みな)れたカモなのに本物とまったく似ていないし、どこにでもいるのにレベルがかなり高くないと飼えないし、もっとも謎(なぞ)な設定(せってい)です。
カルガモの特徴(とくちょう)は、わたりをしない、ということのほかにもうひとつ、オスとメスでほとんどからだの模様にちがいがない、というのがあります。ぎゃくにいうと、ほとんどのカモは、オスとメスの模様がちがうことが普通です。たとえば、マガモですが、↓は私がフランスで撮影したマガモのオスとメスです。上はオス、下はメスです。
P3120157

このように、カモは、たいていオスのほうが派手(はで)ないろあいをしていて、メスは地味(じみ)な茶色であることが多いです。着飾(きかざ)っているのはメスだろう、と思うひとがおおいでしょうが、それは、人間社会から類推(るいすい)した先入観(せんにゅうかん)でしかありません。
と、いうわけで、もうひとつ根本的(こんぽんてき)な設定上の問題があきらかになるわけで、フランスカモもそうですが、派手な模様をしているということはこれはオスですね。ということで、卵(たまご)を生むことはありえません。

黒鴨


えらそうなことをいってますが、クロガモというのも知りませんでした。が、これもじっさいいるようです。名前のとおり黒いカモです。wikipediaの写真↓

くちばしに黄色いコブがあるのが特徴らしいですが、メスにはコブがないらしく、てことはこれでいいのか…。

*1:北京ダックはマガモを家禽化したもののようですが、マガモを家禽化したアヒルでも、青首(あおくび)アヒルなど、マガモに近いすがたのものなどもあるようです。

*2:マザー・グース」のグースですね。

*3:あえて区別するばあいドメスティックなダック、カナールとする。まさに家鴨ですね。