いわゆる「高校無償化」からの朝鮮学校の排除に反対するパブリックコメント

現在、朝鮮学校は、「高校無償化」から排除されていますが、それは「無償化」に関わる法をどう解釈しても正当化できないもので、つまりそれは「不当」な差別的行為であると同時に、明らかに「不法」な行為でもあります。ところが、政府は、この不当で不法な行為を止めるどころか、なんと、差別に合わせて法律の側を変えようとしています(高校「無償化」施行規則から、朝鮮学校が指定される根拠となる条文を削除しようとしています)。しかし、言うまでも無く、いくら「合法化」したところで、差別が差別であり、不当なものであることに変わりはありません。法を捻じ曲げてまで差別を遂行しようとする政府の姿勢は恥ずべきものです。この省令案に関してのパブリックコメントが募集されていますので、提出しました。
こちらhttp://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=185000617
に提出したものです。本日1月26日が締め切り日です。

 いわゆる「高校無償化」からの朝鮮学校の排除を目的とした本省令案に反対します。省令案を撤回し、朝鮮学校に対して「高校無償化」をただちに適用すべき(就学支援金を、凍結されている卒業生への分も含めてただちに支給すべき)と考えます。
 ただし、朝鮮学校に「高校無償化」が適用されるべきなのは、朝鮮学校が日本社会にとって「無害な」存在である【から】、とか「むしろ有益な存在である」【から】というような理由では決してありません。それがなされていないことが、人権侵害であり、差別である【から】、という唯一の理由にもとづいてです。
 朝鮮学校に「高校無償化」を適用しないのは、朝鮮学校の生徒たちの教育を受ける権利の侵害であり、民族教育を受ける権利の侵害です(日本も批准している「こどもの権利条約」第30条には「種族的、宗教的若しくは言語的少数民族又は原住民である者が存在する国において、当該少数民族に属し又は原住民である児童は、その集団の他の構成員とともに自己の文化を享有し、自己の宗教を信仰しかつ実践し又は自己の言語を使用する権利を否定されない。」とあります)。
 人権侵害はやめるべきだし、その理由はそれが人権侵害だからです。それ以上の理由は存在しないし、するべきではありません。その意味で、朝鮮学校への「無償化」適用を行うかどうか、つまり「人権侵害の中止を行うかどうか」を、「判断」したり「議論する」という余地はそもそもなく、ましてやそんな「判断」や「議論」を当の人権侵害の加害者が行うなど、ありえないことでしょう。ところが現在、そのような議論が実際になされてしまっています。そこでは、「反対派」が、朝鮮学校が日本社会にとって「有害」であると告発し、「賛成派」は、逆にそれが「無害」であるとか「有益」であるとか弁護する、といった状況が生まれています。まるで朝鮮学校やその生徒たちが被告席に座らされているかのようです。しかし、被告席に座るべきものがいるとすれば、それは、朝鮮学校の「無償化」からの排除という人権侵害を行っている日本政府ではないでしょうか?
 朝鮮学校は、日本による朝鮮の植民地化の結果日本に渡らざるをえなかった朝鮮人たちが、否定された自らの言語と文化をとりもどすために作り上げたものです。日本政府は、その朝鮮学校をつぶそうとし、またその後も一条校として認可せず、助成金や税の免除において差別的な扱いを行ってきました。「高校無償化」からの排除を含めて、こうした日本政府による朝鮮学校への「加害」は、その意味で、植民地主義の暴力の継続であると言えます。
 したがって、朝鮮学校に「無償化」を適用するか否かを「判断」する資格は、日本政府にはありません。それについての「議論」も成立しえません。日本政府ができること、またするべきこととは、ただ一つ、今行われている朝鮮学校への「加害」「攻撃」を直ちに「やめる」ことです。そして、謝罪と賠償を行うことです。すべてはそれからです。