「法ボケ」追記1

※(夕べ書いた追記の前半にさらに大幅に追加したので日付を変えました)

 いくつかトラバをいただいています。ありがとうございます。また、読んでいただいた方から「内容は大まかなところで同意」しているが「説得方法が適切でない」という批判というか忠告のメールを頂きました。というわけで、主張を撤回するとか修正するということではないのですが、少し追加しておきたいと思います。
 まず、名古屋のホームレスを支援している団体による、今回の行政代執行への抗議声明をご覧下さい。
http://d.hatena.ne.jp/homeless758/20050125#p1
それによると、これまで、野宿者と支援者、そして市の間で話し合いが続けられており、その中で「名古屋市のやり方に問題があることが確認され、話し合いによる解決は進みつつ」あった。しかも市側は、野宿者・支援者側の提案を検討すると約束し、次回の話しあいの日程についても「1月24日に何とか回答する」と約束した。ところが、市側は、そうした約束を全て反故にし、その24日にいきなり代執行を強行したわけです。
 つまり、サンスポは野宿者を「不法占拠」だと言いますが、それを言うなら、そもそも強制代執行そのものが「不法」な暴挙なわけです。抗議声明にもあるとおり、かつて市側は「野宿者に違法な生活保護運用を行い裁判でその誤りを指摘された」という経緯があるわけです(行政による生活保護「違法」運用に関しては例えばhttp://www.arsvi.com/0e/s02.htm)。その意味でも、そもそも「不法」なのはどちらか、という話です。
 ところが、私の「法ボケ」では、ジョゼ・ボヴェの話なんかを中途半端に持ち出したおかげで、野宿者たちが正当性を根拠に「あえて不法に」居座っている、というような誤解を生みかねませんでした。しかしそれはまったく違う。むしろ、今回の名古屋市側の行動こそ、ジョゼ・ボヴェがいきなりイネを引っこ抜いた以上にむちゃくちゃな、人間をイネのように引っこ抜いた「不法な」暴挙なわけです


【以下引用】-----------
http://d.hatena.ne.jp/homeless758/20050125#p1
抗議声明
「おれたちはゴミではない、人間だ!」という叫びが、聞こえますか?

     ー白川公園野宿者の強制排除に強く抗議しますー

 1月24日、名古屋市が職員やガードマン600人と警察官多数を使って、白川公園野宿者7人のテント・小屋を強制的撤去し、話し合いによる解決を破壊したことに、ここに抗議・弾劾します。
野宿者と私たちが要求してきた主なことは、次のようなことです

① 立ち退きが必要とされる場合は、国際人権規約(誠実かつ十分な話し合いを行うこと)、ホームレス特別措 置法(施策との連携が必要)、憲法生活保護法(生存権保障)などをよく説明し、実施すること、

② 緑政土木局による巡回はシェルターへの入所強要であり、自己決定権を否定するものなので、シェルターを経由しない居宅保護を含む諸選択肢を提示し、自己決定をまつこと、

③ 野宿の最大の原因は、失業・失職であるので、就労の場の創出を行うこと、などです。

名古屋市のやり方に問題があることが確認され、話し合いによる解決は進みつつありました
① 11月30日に初めての話し合いが持たれ、健康福祉局は野宿からシェルターなどを経由しないで居宅保護となる道もあることを認めました(緑政土木局はこのことを野宿者に説明をしてこなかった)。

② 12月15日の話し合いでは、緑政土木局は今までのやり方に問題があると認め、シェルターを経由しない居宅保護も含む施策に関する説明リーフレットを、健康福祉局と共同で1月中につくることを、確認しました。

③ 1月11日の話し合いで、私たちからリーフレット案に対する問題点やその使用方法について提起し、名古屋市は検討することを約束しました。

4回目の話し合い申し入れに、「1月24日に何とか回答する」としながら、行政代執行を行った!

 私たちは1月15日付で次回の話し合いを要請し、健康福祉局に何度か電話をしたところ、「緑政土木局と連絡しておく」、「緑政土木局と連絡が取れていない」とし、1月21日(金)には「まだ連絡が取れていない。来週(24日)には返事をする。緑政土木局がよければ健康福祉局としては話し合いをしてもよい」ということでした。

 その日緑政土木局に電話をして話し合いの件はどうなったかときくと、「別室で会議中。用件は伝える」とするものの連絡がなく、10分か15分後に電話をすると「二人とも退庁した」とのこと。

 ところが24日になると、行政代執行だったのです。こういうことが許されていいのでしょうか。

「生活保障のためでなく、テント・小屋をつぶすためのシェルター」をどう思いますか?

 名古屋市のシェルターは、テント・小屋をつぶすための受け皿といえます。なぜなら特定の公園でテント・小屋をもつ野宿者を入所対象にし、緊急援助を要する小屋を持てない野宿者を入所させないのですから。

 こんな位置づけのシェルターに入れと言われて、気持ちよく入れますか。誰でも反発したくなるのではないでしょうか。圧倒的に多くの野宿者は、誰もが入れるシェルターにすべき、あるいはテントがない人を優先すべき、と思っているのです。これが当たり前のことではないでしょうか。

日頃は公正な運用をせずに、テントの撤去のためには居宅保護を認める、というのでは問題!

 野宿者に違法な生活保護運用を行い裁判でその誤りを指摘された行政は、通知上である程度改善しますが、緑政土木局や福祉事務所は、施設を経由しない居宅保護も可能であることを説明しようとしませんでした。その誤りを私たちに指摘された名古屋市は、ここ1ヶ月くらいは居宅保護をかなり認めはじめたのです(万博開催を前にして白川公園のテントを一掃するためでしょうか)。

必要なことは、名古屋市が野宿者に今までの誤りを、きちんと公に認めることです

 今まで野宿者を人間として尊重せずに退去を迫り、生活保護の公正な運用・説明もせずにやってきた名古屋市が、何事もなかったかのように、1ヶ月前にやっと生活保護の話をしても、不信感は拭えるものではありません。

 野宿者の人間としての尊厳を認めること、個人の尊重(憲法13条)が、問題解決の前提ではないですか。

話し合いによる解決を破壊し、不信感を増幅させる行政代執行は、最悪の「解決」方法です

 その上に24日の力ずくの追い出しですから、ますます行政に対する不信感は増幅され、問題の解決は困難になります。これは白川公園野宿者だけのことではないのです。すべての野宿者に関わることです。

名古屋市の野宿者に対する姿勢を改めさせるために、私たちはたたかい続けます

 みなさん。このままでは解決になりません。いまこそ、声を出してください。行政代執行に対する抗議を名古屋市に行って下さい。私たちに対する意見もください。お願いします。ありがとうございました。

名古屋市への抗議先)緑政土木局緑地管理課指導係  電話:052−972−2473

 (私たちの連絡先)名古屋市中村区則武2-8-13 笹島連絡会(この件に関するFAX:052-451-4585)
【引用おわり】-------------