高野連がポップス調校歌を軍歌調に勝手に変えた?

ネットニュースでは見つけられなかったのだが、昨日買った日刊ゲンダイ(33面)にこんなニュースがあった。大分の楊志館高校という高校が、初出場で8強進出したらしいのだが(20日長崎日大に負けたらしい)、その高校の校歌が、甲子園で流されるときに、勝手に変えられていたそうだ。この高校のOBが日刊ゲンダイ編集部に電話してきてわかったそうだ。で、そのOBの言うところでは

うちの校歌は女性が歌っていて、曲調も校歌にしてはポップス色が強い。ところが甲子園で流れていたのは男の声で、曲調もいかにも校歌らしいものになっていた

ということだ。まあ、いかにもありそうなことではある。ゲンダイが楊志館高校に確認したところ

大分大会優勝後、7月下旬に音源を高野連に送ったところ、「これではちょっと」と言われたんです。その後、高野連から連絡はなく、緒戦を突破したときに流れた校歌で、初めてアレンジされていることを知りました。理由ですか? さあ、なんでしょうか……

ゲンダイが高野連に連絡しても、担当者がいないとか言われ、ようやくつかまったら「それは朝日だ」と。朝日に連絡したら、「担当者は甲子園につめていてつかまらない」といわれ、まったく要領を得ない、ということで、校歌を作曲した、「ハチのムサシは死んだのさ」などで有名な作曲家平田隆夫氏を取材したそうだ。

高野連から連絡? 何もなかったですね。確かに私が作った女性ボーカルの音源とは違います。これは私の想像ですが、NHKさんがブラスバンドで本格的にアレンジしたのでは。原曲に忠実な立派なものになっていましたよ

高野連がやったのか、朝日がやったのか、NHKがやったのか、はわからないけど、いかにもありそうなことではある。ゲンダイは、高野連がアレンジを変えた理由として「おそらく甲子園でも前例のない女性ボーカルの校歌だったからだろう」という「大会関係者*1」の声を紹介して、校歌は学校の顔であって、学校や作曲者に無断で変えるとはケシカラン!と記事をしめている。ゲンダイのこの論調だと、逆に、例えば君が代の重厚アレンジをポップス調に変えるなんてこともケシカラン!てことになりそうだ。まあ、正しいサヨク?としては、校歌も国歌も、ていうか高校野球自体、ケシカランわけで、このニュースに対する正しい反応は「どうでもいい」なんだろうけど。
ところで、ゲンダイは怒っているけど、そもそも作曲者の平田氏は「原曲に忠実な立派なものになっていましたよ」と言っているわけで、連絡がなかったことは事実にしても、別に問題にしていないようだ。とはいえ、著作権侵害が非親告罪化されたら、高野連やNHKが起訴されることになるのかもしれないけど。
それから、ゲンダイの記事だけでは、こうしたアレンジの変更というのがこれまであったのかどうかはわからない。これは想像だけど、たとえば、「アレンジがあまりにショボいから」などの理由で、それこそ親切心で、NHKがタダで重厚なアレンジをしてあげた、などということもこれまでもあったんじゃないかなあ。今回もそれと同じような感覚だったのかもしれない。
しかし、甲子園とポップスといえば、入場行進の曲は、たしか流行ポップスを無理やりブラスバンドのアレンジにしているわけで、その点では高野連は若者ウケねらいをしていたんではなかったっけ。最近は見てないけど、入場行進の時の、ブラスアレンジのポップスのあのショボさというのはなんともいえないもんだったな。要するに、高野連的には、ポップスがダメ、ということではなく、ポップス的アレンジが「甲子園にはそぐわない」ということなんでしょうね。*2

*1:出た!ゲンダイお得意の「関係者」

*2:ちなみに、ブラスバンドと軍隊ということに関わる話、そのうちアップしようと思っているんですが