「弁護なんてしちゃいけない」

24人を殺した無差別殺人事件の容疑者が、手厚い弁護を(たぶん)受け、陪審評決によって無罪判決をかちとったそうです。「被害者の人権」はまたもふみにじられました。

イラク民間人殺害で海兵隊員に無罪、米軍法会議 国際ニュース : AFPBB News
【6月5日 AFP】イラクで2005年に発生した米海兵隊員による民間人24人の殺害事件で、米カリフォルニア(California)州南部のペンドルトン海兵隊基地(Camp Pendleton)で開かれていた軍法会議陪審は4日、司法妨害などで起訴されていた海兵隊員Andrew Grayson中尉(27)に対し、すべての起訴事実について無罪を言い渡した。米軍関係者が明らかにした。
 Grayson中尉は、司法妨害や偽証、海兵隊から不法行為目的で離脱した罪などで、5月28日から同基地の軍法会議にかけられていた。
 この事件は、米海兵隊員らが05年11月19日、バグダッド(Baghdad)西部の都市ハディサ(Haditha)で道路脇に仕掛けられた爆弾の攻撃を受けた後、無差別に民間人を殺害したとされ、03年の米軍のイラク進攻以来最悪の戦争犯罪といわれている。
 海兵隊の兵士4人が殺人罪に問われたほか、Grayson中尉を含む士官4人が事件の隠ぺい行為や適切な調査を行わなかったとして起訴されていた。だが、検察側の立件は困難を極め、今回の陪審評決で起訴された8人のうち6人が無罪とされた。
 残る2人のフランク・ウテリック(Frank Wuterich)軍曹とジェフリー・チサニ(Jeffrey Chessani)中佐の罪状も、殺人罪から軽微なものに変更されている。(c)AFP

http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2400592/2998219

あいかわらず日本ではこうしたニュースはほとんど報道されません。日本国内での殺人事件についてはセンセーショナルに連日報道されているわけですが、それらの報道によって形成される世論のある意味典型的なものを実際に聞くことができました。
先日、某バーでライブをしていたとき、カウンターに、50代か60代の、管理職というふんいきの男性客がいて、マスターと大声で会話をしているのが聞こえてきてしまいました。ちなみに、この某バーというのは、http://d.hatena.ne.jp/zarudora/20080329/1206806616で書いた発言を聞いたのと同じ場所です。発言者は別の人…かと思ったんだけど、ひょっとすると同じ人なのかな?ていう気も今してきました。

何か変なのがまた出てきたね(秋葉原の事件の犯人のこと)
ああいうのは、死刑でも足りない
生かしておいてなんかさせてやらなきゃ。*1
(……)
光市の事件もね、あれもひどいね
弁護士、あいつらとんでもねえやつらだね
ドラえもんがどうとかさ
あれどうせ弁護士が言わせてるんだろ?
ああいうのは、弁護なんかしちゃいけないよ!
弁護なんかしちゃいけない!
(……)
オレの考えではね、ああいうのは、インターネットとか、携帯とかがいけないんだと思うよ
(……)
コミュニケーション能力が欠けてるんだと思うね

さいわい、私は50代管理職、のようなかたがたと日常で接触する機会がいまのところないのですが、もし日々話をあわせなくてはならなかったりすると、なかなかたいへんだろうな、と思いました。
それで思い出しました。まえ、書こうと思ってボツにしたのですが、4月ごろ、裁判員制度についての内容が入っている番組(の予告編のようなもの)を見たとき、出演者の梅沢富美男が、裁判員制度の意義?についてこのように力説しているのを見てこわくなりました。

軽い罪で出てきてまた犯罪犯すやつがいっぱいいるじゃねえか。
そういうやつらに、俺たちが「無期懲役!」とか重い罪を与えてやる、っていう大事な仕事なんだよ、これは。

ほんとうにこのように言っていました。

*1:これだけだと死刑反対派のようにも聞こえますが、そういうことではなく、なんかざんぎゃくな身体刑を加えてやらなきゃおさまらない、というようなことだったようです。