JANJANの記事+仏文抗議声明

JANJAN首大記事

http://www.janjan.jp/area/0410/04102542/1.php
首大」設計者達の暴言と慣らされてしまった人達(静山視河)
2004/10/29

 しかし、なぜこのような暴言を吐くのだろうか? それは、冒頭に述べたように、暴言を吐くと、聞いた人が反応してくれるからだ。汚く罵れば罵るだけ世間が注目してくれる、そういう構造があるのではないか。そして、その内容が事実と違っていても、面白がって傍観しているだけ。

 傍観者には、一般人だけでなく、マスコミも含まれる。今回の毎日新聞産経新聞の記事は、それでも少しは実態を伝えようとしているが、ここに引用されている読売新聞や朝日新聞の記事を見ると、まったく問題視していないことが分かる。

 これは、感性の麻痺というだけでなく、知性の麻痺でもある。政治家を含む指導層が暴言を吐き、それを人々が許容するという構図は、やがて暴言の内容を実行するような指導者を知らず知らずの内に許してしまう社会を作り出すのではないか?

 「ああ、また愚かな暴言を吐いている」と考えるのは、危険な徴候だ。そのように感じる人は、自分の知性が麻痺してきていると自戒すべきだろう。地域面の小さな記事としてほったらかしにしてはいけない。マスコミは指導者層の暴言をもっと大きく扱って、このような人達の責任を問うべきだ。

 暴言に慣れて、もうパラレル、いやウェーデルン。ていうかファシズムに直滑降!
 ……すいません。心から反省します。

都立大フランス文学専攻の抗議声明

http://members.jcom.home.ne.jp/frsect_metro-u/shoushisenban.html
仏語版も:http://members.jcom.home.ne.jp/frsect_metro-u/Protestation.pdf

石原東京都知事に発言の撤回を求める

                  2004年10月31日

                  東京都立大学人文学部フランス文学専攻教員一同

 去る10月19日、石原慎太郎東京都知事は、「The Tokyo U-club」設立総会の場で次のような発言を行ったと伝えられる(『毎日新聞』10月20日付ほか)。

「都立大にはドイツ語やフランス語の教員はいっぱいいるのに学生は数人またはゼロ。」

「フランス語は数を勘定できない言葉ですから国際語として失格しているのもむべなるかなという気がします。そういうものにしがみついている手合いが〔東京都立大学の廃止、新大学の設置をめぐって〕反対のための反対をしている。笑止千万だ。」

 教員の配置数と、ドイツ語ドイツ文学、フランス語フランス文学を履修する学生数の関係については、すでに幾度となく真実の「数の勘定」にもとづいた正確な評価と公の議論を東京都大学管理本部に申し入れてきたが、その甲斐もなく、知事側からまたもやこの種の発言が繰り返されたことは誠に遺憾である。現・東京都立大学において、フランス語を学ぶ学生は、毎年、数百人の規模で存在しており、また、人文学部フランス文学専攻に在籍する学生の数(昼間部・夜間部の上限定数、各学年それぞれ9名・3名)がゼロであった年度など、いまだかつて一度もなかったことを、ここで再び確認しておかねばならない。

 新大学「首都大学東京」の支援組織「The Tokyo-U club」が、このような虚言と、他国の言語、文化に対する価値毀損の暴言を旗印として発足すること自体、東京都教育行政の権威を失墜せしめるばかりか、日本の首都の知的水準を世界の目に疑わしめかねない極めて重大な事態である。東京都は、1982年、フランスの首都パリと姉妹友好都市協定を締結しており、東京都立大学は、「日仏共同博士課程日本コンソーシアム」発足以来、日本側加盟大学29校に名を連ねている。このように相手国の言語と文化をいたずらに貶めて恥じないような人物を、東京都の長の座に、そして大学設置主体の最高責任者の座に戴いてしまったことの不幸を、良識ある東京都民、現・東京都立大学の教職員、学生諸君とともに心より嘆く。

 世界1億7千万人のフランス語常用者、数億、十数億人の随時使用者、学習者、ならびに日本国、とりわけ東京都にあって、フランス語、フランス語圏文化となんらかのかたちで関わりながら暮らしているすべての住民を前に、断固、上記発言の撤回を求める。

                   石川知広 石野好一 大久保康明

                   岡田真知夫 小川定義 菅野賢治

                   西川直子 藤原真実 吉川一義