貧乏人はジャンク食え

 今日は、帰宅途中、川崎で夕食を食べることになった。某デパート上の食堂街に初めて行ってみたのだが、「自然食」とか書いてあるレストランがあったので、なんとなく入ってみた。店員に一人であることを告げると、「ラストオーダーが…」と言いかけたので、「閉店間近なのか…じゃあやっぱり別の店に行こう」と思いかけたのだが、「…10時となっておりますがよろしいでしょうか?」という。まだ8時半である。当然、良いですよ、といって入店した。席に着くと、店員が、初めてかどうか聞いてきたので、そうだと言うと、なにやらシステムの説明をしていたが適当に聞き流してしまった。で、その後改めてメニューを見ると、その店はバイキング形式で2時間食べ放題の店なのだった。で、ラストオーダーまで2時間をきっていたので最初に店員があのように言っていたのだった。そういえば、そのとき2時間がどうのとも言っていたような気もする。さて、では値段は、とメニューを見て、ちょっとびっくりした。一人2600円(税込み)だという。自然食というのでちょっと高いかもとは思ったが、これは予想外である。まあ、食べ放題のバイキング、としてはそんなもの、なのかなあ……。しかし、2600円といえば、きっこさんでおなじみの一個35円の特売金ちゃんラーメンなら、一日三食としてほぼ一ヶ月近く持ってしまう金額である。店の雰囲気的にそんなに高くなさそうだったので油断した。しかし、値段を見て帰るというのも恥ずかしいし(といっても別に理由を言わなくてもいいわけだが)、まあ話の種に(たぶん二度と来ないし)、と思って食べてみることにした。
 セルフサービスのバイキングの内容は、いかにもな庶民的おかずが中心で、それぞれの皿の上に生産者の顔写真が貼ってあったりと、なんかとてもいかにもな感じだった。ご飯も当然白飯のほかに五穀米、発芽玄米とあり、飲み物も、有機茶、有機コーヒー……という感じ。味はというと、これまた予想通りな感じ。まあもちろん、何万円というディナーを毎日のように食べているようなやつらも世の中にはいるわけで、2600円ごときぜんぜんたいしたことないわけだが、それにしても、2600円で粗食を食べにくるとは、なかなかに倒錯した趣味と言えまいか、と思わず周りの客を見回してしまったが、地味ーな家族連れとかがほとんどだった(あたりまえか)。しかし、考えてみればこいつら「健康勝ち組」なわけだ。貧乏人は添加物にまみれたジャンクフード(ジョゼ・ボヴェのおっさん言うところのMalbouffe)食ってろということか、とちょっとむかついたが、まあたまに自然食食べるぐらい気休めにしかなるまい。そう思うと、「食の不安」に踊らされたかわいそうな人たち、とも見えてきた。ていうか俺もだけど。