NHKとはこんなところ2

先日、たまたま見た国営放送のニュースで、ひどいのを見ました。
問題の番組は、5月28日(水)、9時半ぐらい。「ニュースウォッチ9」でながれた、駐米大使をやめた加藤良三のインタビューです(録画は途中からです)。
こちらのブログでも触れられていますが、あまりにひどい「アメリカべったり病」ぶりに、怒りをとおりこしてあきれるほどでした。
あまりにひどいので、ブログでチクってやろうと録画しました。というわけで、とりあえず、そのまま文字化してみます。
画面上部に映るテロップは「前駐米大使が語る日米外交最前線 加藤良三前駐米大使」です。インタビューの最後に「報告 大越健介(ワシントン支局長)」というテロップが映りました。
加藤の発言(赤字)は、逐一画面下部に字幕化されていましたので、手間をはぶくために以下の加藤発言は基本的にはその字幕をタイプしたものです(少し発言を聞いておぎないました。実際の発言はですます調です)。
合間に挟まるナレーション(おそらく大越健介の声)は、音声から文字におこしました(青い字にしました)。
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(途中から)
加藤「9月11日の後は日本が対応をまず決めて、それから他の多くの国が自らの対応を決めた。」

しかし、イラク戦争の是非をめぐって国際世論が割れる中、日本の姿勢は、アメリカ追従に過ぎないとの批判をまねきました。これに対し加藤氏は、国際社会の現実を見据えるべきだと主張します。
加藤「問題解決は誰かがやらなければいけない。その役割を担うのが誰かという現実論があって、アメリカがかんでくると問題が解決することがいちばん多いのは事実。われわれから見ると、国連は残念ながら機構上の欠陥が安保理事会という次元でもあって、なかなか役割を果たせていません。」
アメリカとの同盟関係が、日本外交にとって最も重要だとする加藤氏。ある会合で会った元軍人のことが忘れられないと言います。
加藤「非常に若い人なんですが、顔の半分がない。イラクでそういう傷を負った。プラスチックで、話すことができない、笑うことができない。わたしが握手してると非常に強い力で握ってくれる。そこにお父さんがいて、今うちの息子はこういう自分たちを夕食会に呼んでもらって、日本国民の温かさに感謝していると通訳してくれました。」
日米関係はここ数年かつてないほど親密にされてきました。しかし、両国をめぐる状況は、いま大きな変化をむかえようとしています。そのひとつが、中国の台頭と、日本への関心の低下です。政治の街ワシントンで、日本が話題になることは、中国に比べると、まれ、と言っていいほどです。さらに、この秋むかえる大統領選挙。つぎの政権が、ブッシュ政権とおなじように、対日関係を重視するとはかぎりません。これにたいし加藤氏は、日米関係はそうかんたんにゆらぐものではない、むしろ、おたがい言うべきことは言い、ともに働く時代にはいったのだ、と強調しました。
加藤「経済・技術の力を持った日本、文化に魅力がある、政策に一貫性がある日本、この3つがそろっていたら、日米関係は変わりようがない。いちばん大事なポイントは、日本がみずから何をしたいと思い、何をすべきだとアメリカに言い、ビジョンだけではなく、実現に向けた方途をどう確保するか、そういうことなんだと思う。」
良好な日米関係は今後も変わらない、そう語る加藤氏は、日本がアメリカに対して築いてきたプレゼンス、存在感は、自らが退任した後も色あせることがないという確信があります。
加藤「日本に対して持っている感じは、この人たちと一緒にいるとなんか安心してほっとする、という感じだと思う。カナダ・イギリスもそうかもしれない。新聞の一面トップの存在ではない。静かなプレゼンス(存在感)ということで、日本はぬきんでた存在になっている。それが日本と中国の違いだと思います。」

……この、プロパガンダを、普通に「ニュース」として垂れ流すNHKの退廃ぶりは、いまさらですが、あきれるほかありません。
つまり、「国際社会」の「現実」を見すえて、とにかくアメリカにしたがえ、ということしか言っていないのですが、とってつけたように「言うべきことは言い」とか言ってもまったく説得力がありません。
「政策に一貫性がある日本」と自慢していますが、たしかに、アメリカ隷属政策は、一貫しています。
あげくのはては、「安心感をあたえる静かな(アメリカへの)プレゼンス」だというのだから、わらってしまいます。
何をいっても逆らわない子分がいれば、アメリカとしてもそれは「安心」でしょうね。
負傷した兵士について語る場面では、とくにひどいなとおもいました。この兵士は、まさに彼にその苦しみを与えた戦争を正当化するために利用されています。そして、「このような(顔の半分がない)人間」を、「夕食会に呼んでやった」という「温情」をこの加藤という男ははじしらずにも自慢するのです。では、アメリカ軍の爆撃で、体を吹き飛ばされて殺された多くのイラク民間人、経済封鎖で薬がなく死んでいった子供たち、いまもなお苦しんでいる負傷した多くのイラクの人々(彼らは夕食会に呼ばれすらしません)も、アメリカ軍に協力した日本の「温かさ」に感謝している、とでもいうのでしょうか。
さて、インタビューのビデオが終わったあと、スタジオのふたりのキャスターが映りました。男性キャスターが最後に次のようなコメントをのべました。

加藤さんは、じつはきわめつけの野球通としてもしられています。近く日本のプロ野球コミッショナーへの就任もきまっているそうです。

まあ、もともとさいきんプロ野球はみなくなっていましたが、これを聞いて、もう日本のプロ野球はけっして見ないことにしよう、と思いました。