「M3GAN ミーガン」観た(ネタバレあり)

 YouTubeを見てると一時期やたら宣伝が出てきた映画、ちょっと観てみたいと思っていたのですが、U-NEXTで配信がはじまってたので、レンタルして観ました。

m3gan.jp

面白かったです。が、良くも悪くも予想通り、て感じでしょうか。映像的に面白いところは、予告編で観られるところに尽きているかな……て言っちゃうと悪くしか言ってない感じになってしまうかもしれませんが……。そうそう、あのくねくねダンス、たしかに面白いのですが、予告編で観られるあのシーンでしか出てきません。なんで突然あの踊りをするのかはよくわからない。関係ないですが、あのシーンの舞台は大企業のオフィスで、最先端のコンピューターや機器が並んでいるのですが、あれって、裁断機、しかも今どきみない古い形の「押し切り」ってやつですよね。若い人は見たこともないのでは?あんなの、アメリカの最先端オフィスでいまでも使われてるもんなんでしょうか……。

(以下、盛大にネタバレあります)

 

 

 ま、それはともかく、私がちょっとがっかりしたのは、基本ホラー風味お笑い映画なのですが(みんな言ってますがホラー部分はライトな描写で私にとってはよかったです)、ありがちかもしれませんが一応教訓みたいなものがうっすら入っています。この映画のあらすじは、以下のとおりなのですが(wikipediaより)

 玩具メーカー FUNKI(ファンキ)社で研究者として働くジェマは、子どもにとっては最高の友達、親にとっては最大の協力者となるようプログラムされた「M3GAN(ミーガン)」という人間のようなAI人形の開発に携わっている。
 ある日、ジェマは交通事故で両親を亡くした姪のケイディを引き取ることになり、テストも兼ねて「M3GAN」に対し「あらゆる出来事からケイディを守るように」と指示するが、隣人の飼い犬にケイディが襲われたことで「M3GAN」はやがて暴走を始める。

 姪をひきとるジェマは大企業の研究者で、ようするに教訓というのは一言で言えば「仕事を優先して子育てを手抜きしてロボットにやらせようとしたら大変なことになるよ」ていうことなのですね。
 あとは、人間に反抗するロボットというのは手塚治虫の『鉄腕アトム』でもアトラスとか青騎士とか出てくるが、ミーガンの場合そうした深みはないです。基本ターミネーターを少女に変えただけという感じ。実際最後の方は『ターミネーター』のパロディでしょう。
 ミーガンは最初のほうでは孤独な少女ケイディの唯一の大切な友達として描かれているのに、最後、人間を殺す悪いロボットだと判明したとたんに、ケイディは、人間に忠実な大きなロボット(ちなみに「ブルース」という男性の名前)を操縦し、叔母ジェマと一緒になんのためらいもなくミーガンを破壊します。……え?せめてちょっとは葛藤とか描かないの?あとこのシーンはもしかして『エイリアン2』のパロディかな?

 それから、学校に行っていなかったケイディをジェマは学校に行かせようとするのですが、嫌がるケイディを「オルタナティブ・スクールもあるのよ」と言ってその野外授業の体験に行かせます。そこでジェマは、このオルタナティブ・スクールに息子を連れて来ている母親と会話するのですが、この母親が「親バカ」としてかなり揶揄的に描かれています。また、母親によると「普通の学校よりもここを気に入っている」息子は、他の子より年齢が上に見えるのでジェマは嫌悪の表情で見るのですが、母親は「内面は繊細なのよ」とかばいます。結局この子がクソガキで、ミーガンの最初の犠牲者となるのですが、全体に「オルタナティブ・スクール」を(先生も含めて)うっすら馬鹿にしているように描いていて嫌でした。

 「ロボットではなく人間(母親)との触れ合いが大事」「オルタナティブ・スクールはだめで普通の学校がいい」というメッセージが透けて見えるというか。