働かないオヤジ

 昨日の記事を書いた後、20代の人たちととりとめのない会話する機会があった*1。その中の一人(派遣社員をしている)が、次のような話をしていた。彼女は職場のお局さん的な人と一触即発の危機に陥ったのだが、同じ職場の「働かないオヤジ」という共通の敵との戦いで同盟することによって危機を回避し、和解したのだ、という*2。私は何も口を挟まなかった。その「働かないオヤジ」がどんなオヤジなのかはわからない。もしかしたら、そのオヤジは、若い社員にとてもえらそうに説教したり、セクハラっぽい言動があったり、下品なオヤジだったりする、のかもしれない*3。にもかかわらず、「働かない」、「仕事ができない」のかもしれない……。おそらく、そういう風に若い社員に思われている「オヤジ」はそれこそゴマンといるだろう。で、彼女に昨日の記事のような話をしたら、たぶん彼女にはこう思われるのではないだろうか、と思ってしまうのである。「私たちが「要らない人」と言ったりするのは、「現場」での実感に基づいているんですよ。そういう働かないのに偉そうなオヤジたち、なのに同じ給料をもらっているオヤジがいる「現場」で、私たちは日々理不尽な思いをしているんですよ」と*4。だから、「生存権」とか、そういう話をしたって抽象的に感じられるかもしれない。ピンとこないかもしれない。小泉らの言っていることの方が「リアルに」感じるのかもしれない。ホリエモンがヒーローに感じられるのかもしれない。
 それにしても、労働者の連帯が、会社をではなく「働かないオヤジ」を敵とすることによって達成される、というのが、今の状況をよくあらわしているのだと思う。ちなみに、その「働かないオヤジ」も派遣社員のようだ。そして、私が口を挟めなかったのは、私もまさに「働かないオヤジ」であるがゆえ、というのももちろんあるんだけど。

*1:今週はコンビニ以外の会話があった……てあの、この前のやつ、この日記を読んでいる知人に会うたびに突っ込まれるので、書かなきゃよかったと後悔してるんですが。

*2:彼女は知人なので、この話をここに書くのは立ち聞きというより陰口っぽくなってしまうのだが、別に彼女の悪口を書くわけではないから、まあいいだろう。

*3:いや違うかもしれないけどね。

*4:「現場主義」についてはhttp://d.hatena.ne.jp/sarutora/20060501/p1