一般国民と共謀罪

「宿題やりなさい」「これからやろうと思ってたのに」
というのはよくある子供の言い分で、これからやろうと思うことは宿題をしたことではない。ところが、共謀罪というのは
「逮捕する」「まだやってないのに」「これからやろうと思ってただろう」
というので、これからやろうと思うことが犯罪をしたことだ、というわけのわからないものだ。というようなことはしばしば強調されるが、それでも、「仮にそういう法律ができても自分には関係ない」と思う人が多いのだろう。というのは、多くの人は
「だって、俺は犯罪をやらないことはもちろん、犯罪をやろうと思うこともないもの」
と思うのだろう。それを見越して、政府の側は、しきりと「これは犯罪集団を摘発するためのもので、一般市民の方々とは関係ないんですよ」と言っている(たとえば黒目さんが紹介する逆ギレぎみの法務大臣会見)。しかし、「一般市民が話し合っただけでも逮捕されない」と言うことは、「一般市民ではないとされれば自由に逮捕されてしまう」ということである。「ある日突然「お前は一般市民じゃない!犯罪集団だ」と言われてしまう*1」ということである。
 元刑事など警察関係者からさえ「今に条文の拡大解釈が進み、治安維持法の復活につながる」との声が上がっている(東京新聞の記事「刑事(デカ)さんたちが反対する、これだけの理由」)

「警察は『あんなに苦労して法案を通したのに、全然、共謀罪の摘発件数が上がらないじゃないか』との非難を恐れて、数字を上げるのに必死になる。そのために、住民団体を犯罪者集団に仕立て上げていくだろう。刑事警察は、プライドにかけて共謀罪を使わないと思うが、公安は別件逮捕に使うだろう」

<デスクメモ> 「ハム(公安)は法律なら軽犯(罪法)から始まって何でも使うから、共謀罪は使い勝手のいい道具になるんじゃないの」。生活安全部畑が長かった元刑事の言だ。問題は道具の使い方だ。ビラ配りで逮捕、長期留置なんて乱暴な摘発も目立つが、“ノルマ”のために逮捕されたらたまらない。まさかねぇ…。

 それでも、ピンとこない人が多いのだろう。
「だって、俺は「一般市民じゃない」とされるようなことはしないもの」
と。「非国民は、非国民である」「国民は、非国民ではない」そして「私は国民であり、非国民ではない」と。