6分の1

 前から言っているように、私は数年前からテレビをまったく見なくなった(前はかなりなテレビ中毒だった)。テレビを見ていると、どうしてもニュース的なものが目に入ってしまう。そうすると、報じられている「事実」ではなく、その報じ方とか、コメンテイターのコメントとかがいらいらする。しかしそれよりも大きいのは、個人的に生理的に受け付けないしゃべり方をする人物が首相だったので、ニュースを見るたびにストレスがたまってしまう。で、一切テレビは見ないことにした。そうすると、精神衛生上は大変よい。次の首相も生理的に受け付けないしゃべり方をする人っぽいので、テレビ視聴の復活はなさそう。
 というわけで、9月6日も、ニュースなどに汚染されることもなく、普段どおりの生活を送ることができる……はずだった。ところが、薬局の待合室で薬が出るのを待っているときに、たまたまそこにテレビがあり、ワイドショーで例の話題を取り上げていた(テレビ朝日)。勝手に消したりチャンネルを変えたりするのもはばかられたし、目と耳をふさぐわけにもいかないし、やむを得ず、それらの脳への侵入を許してしまった。
 天皇らが「私的に用いる」ことのできるお金の金額の話をしていた。その金額は、天皇と皇太子の家族は、年約3億円。皇太子の弟の家族は約5千万円だそうだ。その後の展開はもう予想できたが、つまり、後者は前者の「6分の1」だ、と言っていた(もちろん「前者が後者の6倍」ではない)。さらに、「将来的にこれを増やすべきではないか、という声もあります」的なことを言っていた。「声もあります」的な表現て、便利だなあ。どっかの大学の教師が出てきてインタビューでコメントを述べていた。0歳児について、「将来帝王学を受けることになるといろいろとお金がいるし」的なことをアナウンサーが言っていた。帝王学っていうけど、象徴なんだから、受けさせるとしたら象徴学なんじゃないの。その辺で薬が出たので、あわてて薬局を出た。ニュースの解毒剤も出して欲しいね。