「2万6千人」
「『反対!』『断固阻止』などと書いたプラカード」
大きなカラー写真が、6月19日の朝日新聞一面に掲載された。国民不在、なし崩しの決定。自衛隊の多国籍軍参加の決定に、国民はついに怒りに燃えて立ち上がった。
……まあ、もうおわかりと思いますが、2万6千人は、18日行われた神戸ヤフーBBスタジアムの近鉄・オリックス戦の観客数、大きく掲載された写真は「『合併反対!』『合併断固阻止』などと書いたプラカードを持ち込んだ両チームのファンの姿」です。写真のキャプションは「合併反対 熱いスタンド」です。ファン不在、なし崩しの合併決定に対しては、一応、プラカードを持って「声をあげる」ファンがいるということですが、国民不在、なし崩しの米軍との合併決定に対して声をあげる国民はどこにもいない。「声ある声」は球場の方にある、て、こりゃ、昭和の妖怪も草葉の陰で笑ってるでしょうね。
いや、こういうのが、それこそ、オロカな国民の「意識の低さ」を高見から嘆く、式のイヤミな文章に見えるだろうのは承知してます。しかしね、高見から、というか、私自身が、盛り上がらない。ある意味自分が気持ち悪い。(阪神優勝の時も、妙に醒めている自分が気持ち悪かった)
というか、近鉄・オリックスの合併にしても、日本プロ野球史上最も重大な転換点といえるでしょうが、それにしては野球ファンの全体は、どちらかというと諦めムードなわけでね。野球という、国民的スポーツにおいてすら、この状態なのですから。ましてやね、たかが、戦後の安全保障政策の最も重大な転換点、なんて、そんな小さな、どうでもいい事に、関心を持たない国民が多くたって、当然てもんですわな。憲法とプロ野球規約と、どっちが大事か、ていえば、そりゃあなた、いうまでもないでしょ(ていうか近・オ合併は別にプロ野球規約に違反してないのか)。
まあ、ヤキュウの方も、一リーグ制になって、その先は、米国大リーグとの合併(ていうか吸収)ですから。自衛隊は、一足先に米国軍と合併した、て、それだけのことです。
60年代には、ヤキュウもセイジも熱かった、てことですね。今は、支持政党なし、じゃない、応援球団なし、ていうのは、つまりヤキュウそのものに全く関心がない、という意味でね。私の子供のころ、(少なくとも私の地元では)ヤキュウに全く関心がない男子小学生、男子中学生というのは、かなり異端というか、かなり生きづらかった*1ものですが、今は、その方が多数派でしょう。ヤキュウ中継なんて、見たいテレビが中止になる、延長で録画予約が失敗する、ウザい、迷惑なだけのもの、という位置づけでしょう。まだ、デモなんかは、ウザい、迷惑と言われないだけましですね。そもそも、無いわけだから、ウザがられ、迷惑がられようもない。よかった、よかった。
*1:前も書きましたが、私が実はそうでした。