公園や図書館はお前の家じゃない

公園や図書館からの野宿者の排除に対して批判的な意見をのべると、必ずつくコメントというのがあって、それは「そんなことをいうなら、お前の家にホームレスを住まわせればいいじゃないか」というものです。ほぼ例外もなくそういうコメントがあらわれる、と言っていいようにすら思います。id:good2ndさんの「ホームレスだからって排除すべきじゃない。でも…」という記事にも、そんな「おまえんちでメソッド」というか、「おまえんちで論法」が、やはりあらわれました。

# 2008年09月01日 id:sol1og ホームレスの人権を守るためにこのヒトのうちに住ませるのではなにがいけないのかわからない。どんなによそで排除されても最後まで「公共の空間」として信頼されている、ということを、まず自分から誇りに!

http://b.hatena.ne.jp/entry/http://d.hatena.ne.jp/good2nd/20080901/1220252058

さて、ホームレスの人たちは、そもそも最初からsol1ogさんの家からは排除されています*1。おそらくsol1ogさんは、自分の家にホームレスがやってきたら、追い払ったり、あるいは警察を呼んで追い払ってもらったりするのでしょう。しかし、ホームレスの側から見たらどうでしょう?sol1ogさんのように、ホームレスに対して偏見や敵意をもっている人の家に入りたいと思わないのはもちろんのこと、そんな人の家の近くにも、怖くて行きたくない、と思うのが当然ではないでしょうか。まあそれはともかく、いずれにせよ、ホームレスの「私的空間」からの排除は、すでに完了しているのです。それは残念ながら当たりまえのことです。ただ、世の中には、私的空間をホームレスのために提供している人だっていくらもいると思います。場所だけでなく、お金や、食料や、衣類などを提供している人ならもっとたくさんいるし、さらには、id:Romanceさんのように、支援活動に参加して「私的な」時間や労力を提供している人だって、たくさんいるわけです。というわけで、ある意味ではそれだけで、もはや「おまえんちで論法」は崩壊している、ともいえるのですが。
ただもうひとつ、「おまえんちで論法」をとなえる人は、別の意味でおおいなる勘違いをしているとしか思えないのです。おそらく、「おまえんちで論法」を使う人は、「ブサヨの矛盾を突いたった!ブサヨのいたいところを突いたった!」というふうに思っているのではないでしょうか?つまり、「ブサヨは、公園とか図書館とか、自分の家ではないから、そんな風にきれいごとが言えるんだろう。ブサヨだって、俺たちと同じで、自分の家にホームレスがおしかけてきたらいやがるはずだから、「むぎゅう」と言葉につまるだろう」と。しかし、good2ndさんは、図書館が「自分の家ではないから」、つまり「自分と関係ないから」意見を述べている、のではないでしょう。むしろ逆に、自分の町の図書館のことだから、自分と関係がある問題だからこそ、「ホームレスの排除」について批判的な意見を述べ、議論を提起しているわけです。さっきいったようにそんなことはないでしょうが、仮にsol1ogさんの家にホームレスが押しかけてきたときに、sol1ogさんがそれを追い出すのは、現行の法体系のもとではみとめらるでしょう*2。しかし、今問題となっているのは、sol1ogさんの家のことではありません。まさに「公共空間」である図書館のことです。なぜ、「自分の家と同じように」ホームレスを排除させる事が、当然と考えるのでしょうか。公園や図書館からのホームレスの排除を当然とする人は、ホームレスに向かって(直接ではなくネット上でとかですが)「公園や図書館はおまえの家ではない」などと言うのですが、その言葉は、そんなことを言う人に対してこそ、そのまま返すべきではないか、と思うのです。
それと、「ブサヨだって、俺たちと同じで、自分の家にホームレスが来たらいやがるはずだ」みたいな勝手な決め付けも、迷惑なんですよね。「ホームレスは、公園だろうが図書館だろうがどこにも居場所がなくなって、自分の見えないところでのたれ死んでくれたほうがいい」などと思っているあなたがたといっしょにされたくない、と思っているブサヨの方々は多いと思います。

*1:sol1ogさんがホームレスではないという前提で話をしていますが

*2:でも革命がきたらid:toledさんがsol1ogさんの家をホームレス支援施設として接収するそうですよ!