O荘の物語

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もう前回が1年半も前なんですが、O荘の物語の続きです。 ところで、最近、敷金、礼金、仲介料ゼロをうたい文句にした「ゼロゼロ物件」で、無断で鍵を交換されるとか、無断で室内に入られて荷物を処分される、などの被害が出ているらしい。http://mainichi.j…

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O荘の物語 4http://d.hatena.ne.jp/sarutora/20060516/p2の続きです。 さて、もう一人の忘れられない住人は、一番奥の部屋に住んでいた。といっても、たぶん当時30代(か40代)だったその人とは、何回か廊下であって挨拶をしたことがあるだけで、顔も…

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玄関に郵便・連絡用のボックス、というか棚があった話は前回したが、O荘の玄関には、大家から下宿人にメッセージを伝えるもう一つの手段があった。それが、壁に貼ってあった「標語」である。これは何かというと、O氏が、達筆の筆書きで書いた月々のモット…

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電話取り次ぎというのは、こんな感じだった。電話がかかってくると、O氏が部屋まで呼びに来る。で、一階のO氏自宅部分に行くわけだが、玄関から家に上がることはなくて、もう憶えていないが裏口のようなところを通ってO氏宅の縁側に案内された。するとO…

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さて、(おそらく)「下宿人」の出入りを確認するためのブザーをつけたりすることも関係あると思うのだが、O氏は、下宿人に対して、単なる賃貸契約者と貸し主、という関係ではなく、「一つ屋根の下」に住む一種の家族としての関係を持ちたい、と思っていた…

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私が初めて一人暮らしをしたのは、今から20年前。当時まだ東京T立大学が、T横線のT立大学駅にあったころ、駅近くのO荘という「下宿」に、結局学部4年間ずっと住んでいた。合格発表のあったその日の内に決めた下宿だが、家賃2万円、もちろん木造、四…