自衛隊派遣おくれたワケ

 さて、といいつつさらに金額の話をつづけるのですが、500万円も寄付して下さるブッシュ閣下のご恩に報いるため、「復興支援」という名目でイラクにはせ参じ、宿営地に閉じこもってもうずいぶん長く無為の日々をすごしている自衛隊ですが、彼らの「活動」のためにいったいいかほどのお金がかかっているのか(もちろんこれまた問題は金額ではないのですが)。なんと一日一億円だというのだからこれまた恐れ入ります。新潟の被災者よりもブッシュのご機嫌とりの方が大事なのか、と言いたくもなりますが、それどころではなく、自衛隊にとって、被災者の援助よりも大事なものは他にもあったようです。10月28日付の『日刊ゲンダイ』5面に「自衛隊派遣が遅れたとんでもないワケ」という記事があります。

26日までに被災地に派遣された自衛隊員は2200人。被災者10万人に対していかにも少ない。(……)新潟県を管轄下に置く「東部方面隊」の主力部隊「第一師団」(……)からはほとんど派遣されていない。(……)なぜ関東の主力部隊は被災者救助にあたらないのか?防衛庁関係者が言う。
「11月7日に行われる防衛庁の記念行事『自衛隊50周年 中央観閲式』の準備のためです。観閲式には小泉首相や大野防衛庁長官も出席するからヘマは絶対に許されません。きのう(26日)も第一師団の隊員はラッパを吹いてパレードの練習をしたり、会場整備のために朝霞駐屯地内の草むしりをしていました」
 つまりは「身内のお祭り」が優先。防衛庁陸幕広報部は歯切れ悪くこう弁明する。
「観覧式は縮小、中止するかもしれない……だから今後の予定は幅があるというか、流動的なんです……。第一師団からほとんど派遣していない理由が観閲式と言われたら、防衛庁に与える影響が極めて大きいのでご理解いただきたい」(……)
自衛隊員をもっと派遣すべきという〕指摘にも防衛庁は「一メートル四方に隊員が10人いても仕方ない」(攻防部)と悪びれていない。
 小泉首相は「観閲式は中止して災害復旧にあたらせる」くらいのことを言えないのか。

 言えないでしょうね……。*1

*1:こうした自衛隊批判に対しても、「救助に尽力している自衛隊員の方もいるわけで、失礼ではないか」というような人がいるのかもしれませんが、いや、そういう問題ではないのです。