たまたま見たNHK9時のニュース。「なぜ減らない 戸籍のない子ども」という特集を途中から見た。
民法772条の「離婚後300日以内に生まれた子は前の夫の子とする」といういわゆる「300日規定」のため、子供が無戸籍になってしまうケースがある。いわゆる無戸籍児の問題である。
戸籍制度というもの自体が差別だが、この300日規定なるものは、明治時代にできたもので実情に合わない、とかそういうこと以前に、そもそも「貞操義務に反した」*1女性に対して(しかもその子供をいじめることで卑劣にも)嫌がらせをする、という目的がみえみえな、まあ「差別が法律という服を着て歩いている」というようなものだろうか。そういう法律はめずらしくないが。
さて、ニュースでは、この無戸籍児が役所に受けた仕打ちについて証言する母親のインタビューがあった。戸籍がないことで、子供は、定期健診や予防接種などが受けられず、母子手帳は空白のままだという。役所には何度も言いにいったそうなのだが、そのとき「あなたの子供はいないことになってますから」と言われたのだそうだ。
真実在としての「法律」の前では、現実存在をも否定するとは、これはひどい観念論者ですね。
こんな扱いを受けた親子、とりわけ当の子供は、その役人に対して直接暴力を行使する正当な権利があるように思う。
なぐられて「痛い」とかその役人が言ったら、「だってあたしはいないことになってるんでしょ?その痛みはないことになってますから」と言ってやって欲しい。
↑(志村貴子『放浪息子』より)