1ヶ月前、静岡地検が、明らかに無罪の袴田巌さん再審で有罪求める立証を行う方針を表明した、というニュースがあった。
「 審理長期化へ」
— 西村 カリン (Karyn NISHIMURA)💙💛 (@karyn_nishi) July 10, 2023
あり得ないこれ。一体いつまで袴田さんをいじめるのか? https://t.co/GK8ni7PQTs
そして今度は、名古屋地検が、明らかに有罪のウィシュマさん事件を再び不起訴の「方針」だという。
これに関しては、検察にとって入管庁が「身内」だからだろうか、と思わされる。
出入国在留管理庁には,入国管理局の時代から,検察庁出身の職員が勤務してきた長い歴史があり,現在も,私を含む多数の検察庁出身者が,様々な部署に配属されて勤務しています。
入管の今の長官も検察ですし、
— 弁護士高橋済 (@8pLRapKwPwhCGur) August 10, 2023
国会で虚偽答弁を繰り返した西山次長も、入管法を成立させて最高検に戻っているし、
検察と入管は一体の組織なので、
ウィシュマさんの死について過失を認める訳もない。
「入管の犯罪は、検察が不起訴にする」ルール
1999年以降の13人の入管庁(局)長官のうち、現在の菊池浩も含む10人が検察である*1。
ところで、昨年2022年9月、アメリカ・ジョージア州の郡刑務所に軽犯罪で収監されていた、当時35歳のアフリカ系アメリカ人の男性、ラショーン・トンプソンさんが、不衛生極まりない独房内で放置され続けた結果死亡するという事件が起きた。
郡検視局は今年1月、トンプソンさんの死因を「不明」とした。だが、それに納得しなかった遺族が独自の解剖を希望し、その結果、トンプソンさんの死因は「不潔な環境で放置されたことによるトコジラミを起因とした合併症」であることが判明したという。
以下上記記事*2からの引用。
5月に、遺族の弁護士から発表された解剖報告書では、トンプソンは郡刑務所に収監されていた3か月間で、体重が約15キロ減少し、死亡時には重度の脱水症状と栄養失調を起こしていたという。同報告書はまた、死亡の前月に統合失調症の治療に必要な投薬やケアをまったく受けた記録がないとも述べている。
解剖を担当した医師は報告書でこう言っているという。
43日間にわたり、トンプソンへのケアが提供されたことを示す文書記録は、最小限だった。
投薬記録には、2022年8月11日から2022年9月13日まで投薬が行われていなかったことが示されている。
(……)
死因は殺人にほかならない。トンプソンは、死ぬまで放置されたのだ。
本当に酷い事件だ。しかし、同記事には以下のようにも書かれている。
ジョージア州フルトン郡委員会は、男性の遺族に400万ドル(約5億7千万円)の調停和解を承認した。
トンプソンの死を受けて、郡刑務所の看守長と看守長補佐、刑事捜査課の看守長補佐は全員辞任した。この死亡事件の原因に関する捜査の詳細は、再検討のためジョージア州捜査局に引き渡されたということだ。
その後、検察審査会は業務上過失致死罪について「不起訴不当」の判断を出し、検察に再検討を求めたが、最初の方で引用した記事が伝えるように、検察は再度不起訴とする「方針」だというのだ。同記事によると、(地検の?)「関係者」が「死因や死亡に至る経緯が詳細に特定できず、予見可能性や結果回避可能性という業務上過失致死罪の構成要件を満たすことは難しい」と言っているとのことだ。トンプソンさん死亡事件でも、郡検視局は当初死因を「不明」としていたが、遺族らの独自調査で死因が明らかになった。同じくウィシュマさん事件でも、その後遺族が原告となった国賠訴訟の中で一部公開されたビデオや、治療の記録などから、死亡に関する入管の責任は明らかとなった。不起訴はまだ決定したわけではない。以下、ウィシュマさん死亡事件について名古屋地検に起訴処分を求める署名です。8月末に提出予定だそうです。