今日は、結局共謀罪反対のデモには行かなかった。山岡俊介氏が今日のデモについて書いている。
http://straydog.way-nifty.com/yamaokashunsuke/2006/04/post_8df9.html
本紙・山岡も忙しいなか、しかし最優先で参加して来たのだが、正直、余りの参加者の少なさに愕然としてしまった。
既報のように、これだけの悪法、しかもこの最大の正念場で、その数はたったの100名いるかいないか。これに対し、公安警察は50名近く(下の写真。デモ参加者のいる公園を、道路の向こうから覗いたり、写真を撮る様子)。警備の警官と合わせたら、向こうの方が多かったかも知れない。
“第2の自民党”’とも揶揄される民主党さえ、党を上げて反対せざるを得ないほどの内容なのに、これだけとは……。真面目に、この国はいったい、どこに向かうのかと、暗い気持ちにならざるを得なかった。
100人……人気ラーメン屋とか、開店前のパチンコ屋とか、そのぐらいの人数ならんでいることあるような気がする。というか、私がやっている授業は、出席者100名越えていることがほとんどである*1
行かなかった私が言うのもなんだけど、これは、やっぱり、どう考えても、「どうかしている」としかいえないと思う。良い悪いとか、嘆くとか以前に、この少なさは、異常だと思う。けど、そう思わない人が多いからこの数になるんだろう。
これは、「日本ではデモ文化は衰退した」という段階はもう越えていると思う。「絶滅した」と言うべきではないだろうか。
それが、良いとか悪いとかは言わない。ただ、この事実は認めざるを得ないように思う。
ところで、「なぜ日本でデモ文化が衰退したか」ということについて書いているブログや新聞のコラムは、どのぐらいあるだろうか。わりあいとよく見かけるのである。たぶん、100はゆうに越えていると思う。デモ衰退理由分析というのは、まだ衰退しない。しぶとく生き残っているようである。しかし、そうした記事の内容は、私にはどうも違和感がある。
よくあるパターンに、「従来型運動スタイルに問題点があったので、デモは衰退した」というのがある。「『動員』というスタイルに反発する人が増えた、人々が『動員』されにくくなった」というのも多い。だが、これはなんか変だと思う。人々があらゆることに「動員」されなくなったのならわかるが、デモ以外のことには、あいかわらず人々はすぐに動員されている。テレビで「どこどこのラーメン屋はうまい」とか放送されたら、100人ぐらいの行列がすぐできたりする。ましてや、みの氏や、ペ氏や、米産のくそネズミキャラに動員される人々ときたら、何百万、何千万である。さらには、人々がデモに参加しなくなった原因が、主催者への「反発」だったのだとすると、たった数十年で、かつて(一回で)何十万人といたデモ参加者*2を100人まで減らした、という主催者たち、「従来型スタイルの運動」とやらは、逆説的に、ものすごい影響力を持っていた、ということにならないだろうか? つまり、従来型デモの主催者というのは、「デモに参加しない」という行動へのマイナスの動員力を、恐ろしいほど持っていた、ということになりそうだ。すごい力だね……。んなわけないだろ!
あとは、最近、「かっこいいまともな人がデモに行かなくなったのでデモは衰退したのではないか。デモに行っている人はかっこ悪い人ばかりなので、みんな敬遠するようになったのではないか」というような意見*3を読んだ。しかし、これもなんか変だと思う。たしかに、かっこいい人はデモにいかない。だけど、だけど、かっこ悪い人もデモにいかないですから〜〜! まあ仮に今日デモに行っていた100人が全員「かっこ悪い人」だったとしよう(もちろん私が行っていれば101人のかっこ悪い人になったであろう)。しかし、たった100人のかっこ悪い人がいるからって、どうだというのだろうか? ゴミでいっぱいの部屋(私の部屋とか)について、「あんな汚い部屋には行きたくない」というならわかる。しかし、吹けば飛ぶような埃が一抹隅にあるだけの部屋について「あんな汚い部屋には行きたくない」て、あーたどんな潔癖症ですか?!
というわけで、まどろっこしい書き方になってしまったが、つまり、いい悪いは別として、デモの絶滅、という問題は、デモに行く人々の問題であるというよりデモに行かない人々の問題ではないか、そして、デモに行かせる人々(動員する運動、団体etc.)の問題であるというよりは*4、<デモに行かせない人々(政府、メディア、知識人etc.)の問題ではないか、と思うのである。
*1:私は、最高、申請者800人という授業を受け持ったことがある。
*2:1960年6月18日(安保条約自然承認の日)に国会を取り囲んだデモ隊の数は……33万人。さ・ん・じゅ・う・さ・ん・ま・ん・に・ん……ですよ!!!!
*3:http://d.hatena.ne.jp/qushanxin/20060416
*4:もちろんそれが皆無であるとは言わないけど。